コラム

トランプが今、地球上で最も憎む存在...「脳みそがあるトランプ」と呼ばれる男の大躍進

2023年01月19日(木)18時24分
ロン・デサンティス

ロン・デサンティス JOE RAEDLE/GETTY IMAGES

<トランプとたもとを分かった共和党期待のフロリダ州知事が、次期大統領候補に至る道のりを阻む意外な過去>

フロリダ州のロン・デサンティス知事は今、米共和党の彗星のような存在だ。2024年大統領選に向けた共和党指名候補争いで大本命と見なされているのだ。

複数の世論調査や分析で、デサンティスが共和党指名候補になる可能性は45%とされており、2位のドナルド・トランプ前大統領(29%)を大きくリードしている。4年前にデサンティスが知事選に初出馬したとき、一番話題になったのは、見ているほうが恥ずかしくなるくらいトランプにごまをする選挙CMだっただけに、感慨深いほどの成長ぶりだ。

ぱっとしない下院議員だったデサンティスが州知事になれたのは、当時大統領だったトランプにぴったり(すぎるほど)寄り添った結果だが、今は完全に手を切るつもりらしい。

■【動画】恥ずかしいほどトランプへのごますりが露骨なデサンティスの選挙CM

トランプは今、地球上の誰よりもデサンティスを憎んでいるに違いない。大統領の座に返り咲くための第一歩を阻むのが、自分が引っ張り上げてやった男なのだから。しかもデサンティスはよく、「脳みそがあるトランプ」と呼ばれているから、ますますしゃくに障っているはずだ。

デサンティスは、栄光に向かって上昇軌道を描くシナリオのような人生を歩んできた。少年野球の世界大会に出場して、その様子がテレビで紹介されたのは12歳のこと。その時点で既に宝くじレベルの貴重なチャンスを物にしたと言っていい。成長してからはエールとハーバードという二大名門大学に進み、エール大学では野球部の主将を務めた。

ただ、ハーバード大学ロースクールに進む前に1年間、高校の教員を務めたことは、政治家として公表されている経歴には含まれていない。その後のキャリアのプラスになると思って「世の中にためになること」をしただけで、振り返ってみると地味すぎるから、華々しい経歴から削除したいと思ったのだろうか。

華麗な経歴に隠れたキズ

だが、その1年間は、デサンティスが大統領になれない理由を知るヒントになるかもしれない。

生徒たちにとって、デサンティスは魅力に乏しく、人好きのしない教師だった。当時、生徒の1人だった黒人女性は、人種を理由につらく当たられたと回想している。南北戦争は奴隷制をめぐるものではなかったと絶叫するデサンティスをからかった、生徒制作のビデオさえある。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story