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米下院が「つなぎ予算」可決、アメリカの孤立主義が加速する?
ジョンソンは表面的にはトランプ支持だが政策面では柔軟な人物 Elizabeth Frantz-REUTERS
<ジョンソン下院議長が提案した「つなぎ予算」では、ウクライナとイスラエルへの軍事支援を分離>
アメリカの連邦議会下院は、前マッカーシー議長を解任した後、一旦は後継議長の選出をめぐって混乱しました。共和党主流派の議員団幹部を議長候補とする人事案は、次々に潰されたからです。結果的に、現在のマイク・ジョンソン議長が選出された時には、いよいよトランプ派が議会の最高権力を握るに至ったのかという懸念の声も出ていました。
その一方で、共和党の主流派は、ジョンソンは表面的にはトランプ支持を強く打ち出しているものの、政策の中身については柔軟な人物だということを見抜いていたようです。また、その気配を察していた民主党の議員団も、ジョンソン議長誕生の動きを強く妨害はしませんでした。
ジョンソン議長は、とりあえずこの期待に見事に応えたと言えます。今月末には再び「政府閉鎖」の危機に直面する見通しだったのですが、現地14日火曜日に米議会下院は、ジョンソン議長の私案に基づく「つなぎ予算」を、336票対95票の大差で可決、当面の危機を脱したからです。
ウクライナ、イスラエル支援は盛り込まず
今回、下院が可決したジョンソン案ですが、次のようなパッケージになっています。
▽政府閉鎖は回避
▽歳出カットは実施せず
▽ウクライナとイスラエルへの軍事支援は含まず
という内容です。まず、歳出カットというのは、ジョンソン議長を含む保守派の強硬な主張でした。バイデン政権が進めている環境対策であるとか、格差是正などの予算を大幅にカットするというのは、保守派の悲願であり、この間「政府閉鎖」という問題を人質に取って、いわば脅迫をしたのはこのためだったと言えます。この歳出カットを行わないということで、ジョンソン議長としては、かなり思い切った判断をした形です。
軍事支援に関しては、民主党主流派と共和党主流派はウクライナとイスラエルへの支援を主張、一方で、民主党左派はガザ攻撃の非人道性を重く見てイスラエル支援には慎重でした。反対に、トランプ派はウクライナへの支援には強く反対していました。ジョンソン案は、こうした複雑な思惑の中で、ウクライナもイスラエルも切り捨てるという思い切った方策を取りました。
この議長案ですが、当初は共和党の多数が賛成する模様で、強硬に反対していたのはあくまで歳出カットにこだわる保守派の3名ぐらいだと言われていました。ところが、いざ評決となると、共和党の保守派はほとんどが反対に回ったのでした。その一方で、民主党は結束して「賛成」に回りました。理由としては、アメリカ市民の日々の生活に影響を与える「政府閉鎖」は何としても回避すべきだからとしています。
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