コラム

プーチンさん、核を使うのはご自身のためになりませんよ(パックン)

2023年05月31日(水)18時30分

しかし、核を使ってしまったら、ロシアの周辺国は当然、ウクライナの二の舞になるまいと、間違いなく核武装するでしょう。ロシアと国境を共有する国だけでも14カ国もあります。彼らが核ミサイルを配備するとしたら、標的として設定されるのはロシア大統領の執務室ではないでしょうか。あなたが「憧れの的」ではなく、普通の「的」に変わりますよ。

まあ、こんなことを申し上げても釈迦に説法だとは存じています(ロシアで言う「イエスにミサ」ですかね?)。核兵器を使うと黒海の艦隊を失い、軍事大国の称号を失い、核保有国の特別なステータスを失う。そんなこと、大統領が一番わかっているでしょう。わかっているからこそ、これまでロシア軍がいくら苦戦しても実際にウクライナへの核攻撃を命じていないんですよね?

それが正しい判断です。そのままでいいですよ。それで歴史に残るプーチン大統領の評価もよくなります。「侵略戦争を起こし、大勢のウクライナ人とロシア兵を死なせて、核兵器を使った、最悪の男」ではなく「侵略戦争を起こし、大勢のウクライナ人とロシア兵を死なせた最悪の男」となるはずです。よかったですね!

今後 益々のご発展、ご活躍をお祈り申し上げません。

パックンより

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界の投資家、過去3年半で最も強気 BofA調査

ワールド

豪政府、今年度インフレ見通し3.75%に上げ 歳出

ワールド

欧州次期主力戦闘機計画、独仏西の溝埋まらず 実現に

ワールド

米政権はFRBと「距離」置くべき─シタデルCEO=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story