コラム

海外ドラマ打ち切り続出は想定内

2010年05月18日(火)18時47分

 今年は思いがけず、テレビドラマの大作が次々と消えゆく年になった。ABCの『LOST』は5月23日、FOXの『24』は5月24日で放送を終了。さらに先週、NBCは看板ドラマの『HEROES/ヒーローズ』や20年続いた刑事・法廷ドラマ『Law & Order』を今シーズンで打ち切ると発表した。

 どれも近年、テレビドラマの常識を破って大衆を魅了した大作なだけに、放送終了のニュースが続いてジュリアス・シーザー的な気分になった人もいるだろう。確かに一つの転換期を迎えたのかもしれないが、冷静に考えてみれば意外なことは何一つない。

『LOST』はすでに07年にシーズン6で終了すると発表していたし、『24』や『HEROES/ヒーローズ』は下り坂の人気に回復の兆しが見られず、今シーズンも視聴率が低迷を続けていたので、莫大な製作費に見合わないと判断するのは当然ともいえる。

 数々の受賞歴を誇り、スピンオフ番組やリメイク版も生み出した『Law & Order』(5月24日に放送終了)も視聴率の低下や内容のマンネリ化に悩まされていたが、一方で長寿人気番組ならではの問題にも直面していた。シリーズの進化版であるスピンオフ番組が2つもあるので、オリジナルの『Law & Order』は昔ながらの路線をキープする必要がある。さらに続きものではなく1回ごとに完結するスタイルなので、乱暴な言い方をすれば最新エピソードも3年前のエピソードも大差なくなってしまう。

 それならシリーズを打ち切っても、視聴者にとってはケーブル局などで再放送が見られれば十分だ。「急いで家に帰って見る必要はない。いずれケーブル局で延々と続く再放送のサイクルに入るのだから」と、ニューヨークタイムズ紙のアレッサンドラ・スタンレーは指摘している。

 NBCは来シーズンから新たなスピンオフ番組『Law & Order:ロサンゼルス』をスタートする予定。オリジナルが終了した後でも、『スター・トレック』のように続編や映画で巨大シリーズへと発展した例はあるので、本当の勝負はこれから?

――編集部・佐伯直美

このブログの他の記事も読む

プロフィール

ニューズウィーク日本版編集部

ニューズウィーク日本版は1986年に創刊。世界情勢からビジネス、カルチャーまで、日本メディアにはないワールドワイドな視点でニュースを読み解きます。編集部ブログでは編集部員の声をお届けします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハンガリー、対ロ制裁とウクライナ融資阻止の構え き

ワールド

オランダ最年少首相が就任、少数与党で政策課題は難路

ワールド

ロシア軍攻撃で2人死亡、ウクライナ南部オデーサ 港

ビジネス

独IFO業況指数、2月予想以上に上昇 現況・先行き
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 2
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面を突き破って侵入する力の正体が明らかに
  • 3
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中小企業の「静かな抵抗」
  • 4
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 5
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story