コラム

トランプ再登板・関税引き上げで米経済はどうなるか...「日本経済には追い風」と言える理由

2024年11月12日(火)18時50分
ドナルド・トランプ

ドナルド・トランプ次期米大統領の再登板で米経済はどうなるのか Brian Snyder-REUTERS

<トランプ氏の掲げる経済政策は米国の成長率、インフレ率にどう影響するか? 米国株式市場は今後も堅調な成長が見込まれるだろう>

11月5日に投開票された米国大統領選で、共和党のドナルド・トランプ氏は312人の選挙人を獲得、226人だった民主党のカマラ・ハリス副大統領に大差をつけた。

こうした中で、議会選挙については、米国のメディアは下院で過半数の218議席を共和党が確保しそうだと報じており、上下両院ともに共和党が押さえる、「レッドスイープ」(トリプルレッド)となる見込みである。

2025年からの2年間はレッドスイープとなる中で、米国経済はどうなるか。トランプ氏が掲げる経済政策の中で、経済成長率やインフレ率に直接影響するのは、関税引き上げ、減税や歳出拡大などの財政政策である。

関税引き上げ政策については、中国からの輸入品には60%、それ以外の国からの輸入品には10%(もしくは20%)関税を引き上げる考えをトランプ氏は掲げている。実際にどの程度の関税引き上げが行われるかは、財務長官などの閣僚人事などで「本気度合い」が分かってくるだろう。

ただ、トランプ氏が得意とするディールの手段として使われることを踏まえると、関税引き上げ率は、上記で示した半分程度で収まると筆者は予想している。

財政政策による押し上げ効果と関税引き上げによる押し下げ効果が相殺

関税引き上げ金額はトランプ氏の主張の一部が引き上げられ米国GDPの0.8%に相当すると予想されるが、これが輸入価格上昇などを通じて、実質経済成長率を0.6%程度押し下げるとみられる。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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