コラム

吉野家「外国籍」騒動の根深さ

2022年05月23日(月)14時30分

新卒採用説明会からの排除がアルバイトとしての労働と併存しているとすれば、国籍の違いが雇用形態や賃金水準の違いに直結してはいないか、現在の日本社会全体の在り方まで含めて考えるべき問題だ。

歴史を振り返れば、日立就職差別事件が起きたのが1970年。

日本で生まれ育った18歳の青年が、採用試験の合格後に在日コリアン2世だと告げたことで採用を取り消され、裁判を起こした。横浜地裁は不当な民族差別だと明言し、日立製作所の採用取り消しを認めないとする判決を出した。1974年のことだ。

それから50年近くの時がたち、日本社会はどれだけ変化できたか。

そこで暮らす人々のルーツは確かに多様化したが、「私たち」は誰もが同じ尊厳を持つ人間だということへの真剣さは今も足りないままだ。

<2022年5月31日号掲載>

ニューズウィーク日本版 イラン革命防衛隊
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月24号(3月17日発売)は「イラン革命防衛隊」特集。イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

望月優大

ライター。ウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。著書に『ふたつの日本──「移民国家」の建前と現実』 。移民・外国人に関してなど社会的なテーマを中心に発信を継続。非営利団体などへのアドバイザリーも行っている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン攻撃で3週間の作戦計画、イスラエル軍 レバノ

ワールド

自衛隊の中東派遣、「情報収集」目的で政府検討 ホル

ビジネス

原油先物が上昇、ホルムズ海峡の混乱長期化を懸念

ビジネス

伊ウニクレディト、独コメルツ銀の30%超取得へ公開
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 8
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story