コラム

今後の日本の「科学技術の趨勢」を占う「応用脳科学コンソーシアム」の現在地と未来

2026年01月15日(木)17時10分

「日本の製造業やサービス業は、世界的に見ても研究開発力、製造力が非常に高い。そこにはたくさんの情報があるのに、デジタル化ができていない。これが大きな課題」と指摘。

萩原氏は、脳データを活用した研究がすでに「スケーリング則」を実証していることを示した。たとえば、文部科学省のムーンショット目標1のプロジェクトでは、脳波データを10時間規模から100時間以上に拡大することで、精度が2.5%から48%へと飛躍的に向上したという。

「データをたくさん集める仕組みを作らなければ、この分野における日本の競争力は失われていくだろう」と警鐘を鳴らす。

萩原氏は、既存のAIの限界も指摘。現在のAIが扱っているのはほとんど「結果のデータ」である一方、重要なのは、環境のデータと人間の内部状態のデータを組み合わせることだと説明した。環境の変化に対して人間がどう反応するかを捉えることで、初めて意思決定や行動を予測できるという。

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(出典:2025年12月3日 一般社団法人応用脳科学コンソーシアム「CAN2025アニュアルシンポジウム『CAN2025の活動とCAN2026の活動案』」)

CANの具体的な取り組み

CANには現在、40社を超える企業が参加している。近年特徴的なのは、ニューロテック系ベンチャーとAI系企業の参加が増えていることだ。脳科学そのものではなく、「脳の知見をどうビジネスに活かすか」に関心を持つ層が広がっており、分野の垣根を越えた構成になっている。

具体的なプロジェクトとして、萩原氏は「100人×100日プロジェクト」を紹介した。100人の参加者から、心理、行動、生理などのデータを24時間連続で100日間収集する。歩行データ、睡眠、行動データ、生理データに加え、今年は遺伝子データも取得する予定だ。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

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