コラム

トランプは本気で、カナダを電子スパイ同盟「ファイブ・アイズ」から放り出すつもりか...その影響は?

2025年03月18日(火)19時31分
トランプがカナダを攻撃する影響

Rokas Tenys/Shutterstock

<世界史上最も成功した情報共有協定とされるファイブ・アイズからカナダを排除するとトランプ政権が脅す目的は何か? そして、その脅しはどんな影響をもたらすのか>

[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領がカナダを米国51番目の州にすると暴言を吐き、関税戦争を仕掛けるその舞台裏で、米高官が英語圏の電子スパイ同盟「ファイブ・アイズ」からカナダを排除するよう提案したと英紙フィナンシャル・タイムズが報じたのは2月25日。

カナダのジャスティン・トルドー首相は退任前にトランプ氏のカナダ併合発言について「トランプ政権はわが国の重要な鉱物資源の量を把握しているだけでなく、それが併合しようと言い続ける理由である可能性さえある」と警戒警報を発した。

米通商・製造業担当大統領上級顧問で対中強硬派のピーター・ナバロ氏がカナダへの圧力を強めるためファイブ・アイズから外すよう働きかけたというFT紙の報道を本人は「カナダのような同盟国とわが国の国家安全保障を危険にさらすことは決してない」と一蹴した。

21世紀の新たなグレート・ゲームは北極圏

トランプ氏がカナダへの圧力を強める背景には中国やメキシコと並んで米国の貿易赤字が多いほか、温暖化で北極圏航路や資源開発の可能性が膨らみ、地政学的な重要性が増していることがある。地球儀を北極点から見ればカナダもデンマーク領グリーンランドも同じ位置づけになる。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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