コラム

英国史上最悪の「国家的レイプ」事件に「英首相が加担した」と、イーロン・マスクが糾弾する理由

2025年01月07日(火)20時11分
イーロン・マスクがキア・スターマー英首相を批判

キア・スターマー英首相 Alexandros Michailidis/Shutterstock

<過去にイギリスを震撼させた少女たちへの性的虐待事件「グルーミングギャング・スキャンダル」について、スターマー首相の労働党政権を攻撃するマスクだが>

[ロンドン発]先の米大統領選でドナルド・トランプ次期大統領に急接近した米テスラ、スペースXの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏が、少女たちを手なずけ、性的搾取を行った「グルーミングギャング」を巡る英国の国家的スキャンダルを蒸し返している。

マスク氏は自らが所有するX(旧ツイッター)に「キア・スターマー英首相は6年間、検察トップを務めた時『英国の国家的』レイプに加担した。スターマーは辞めなければならない。英国史上最悪の集団犯罪に加担した罪で告発されなければならない」(1月3日)と連続投稿した。

イングランド北東部サウス・ヨークシャー州ロザラムで起きた児童性的虐待・搾取について「控えめに見て1997~2013年の調査対象期間だけでも約1400人の児童が性的搾取を受けた」と当時調査を担当したアレクシス・ジェイ氏(現ストラスクライド大学客員教授)は報告している。

「本当の規模は誰にも分からない」

「本当の規模は誰にも分からない」という14年当時の報告書によると、性的搾取を受けた子どもの3分の1強は児童保護やネグレクト(育児放棄)の対象として児童福祉機関に把握されていた。ジェイ氏は「被害児童が受けた虐待の恐ろしさは言葉では言い表せない」と記す。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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