コラム

強硬右派ポピュリスト政党「改革英国」、支持率が労働党に1ポイント差...英政治はなぜ「崩壊」した?

2025年01月14日(火)18時16分
躍進するリフォームUKを率いるファラージ氏

改革英国党を率いるファラージ氏(2025年1月) Temilade Adelaja-Reuters

<リフォームUK(改革英国党)を率いるファラージ氏は「伝統の保守党ブランドは完全に崩壊」と投稿。経済不振でイギリス政治の二大政党制は崩壊>

[ロンドン発]英国の欧州連合(EU)離脱を主導した反移民ポピュリスト、ナイジェル・ファラージ氏率いる強硬右派の新興政党「改革英国」が1ポイント差でキア・スターマー首相の左派・労働党に肉薄していることが世論調査会社ユーガブと英紙タイムズの調査で分かった。

ファラージ氏はX(旧ツイッター)に「改革英国党、ユーガブの総選挙後初の世論調査で労働党にわずか1ポイント差。英国伝統の保守党ブランドは完全に崩壊した。われわれはこの悲惨な政府に対する真の野党だ」と投稿した。単純小選挙区の英国でも二大政党制は崩壊した。

原因は経済不振だ。英国経済は2023年最後の2四半期連続して縮小し景気後退した。24年前半に回復し国内総生産(GDP)は1~3月0.7%、4~6月0.5%増えたものの、7~9月はゼロ成長。10月、レイチェル・リーブス財務相は初の財政演説で400億ポンドの大幅増税を発表した。

労働党政権の突破口はAIと中国?

道路・鉄道・インフラに支出して公共サービスを立て直し、成長を促すため4年間で年平均850億ポンドを借り入れる。財政ルールを緩和し5年間で資本支出を1000億ポンド増やすと宣言した。しかし昨年11月の消費者物価指数は前年比で3.5%上昇し、長期金利は4.9%を突破した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トルコ、ロシア産ガス契約を1年延長 対米投資も検討

ワールド

米国がAUKUS審査結果提示、豪国防相「米は全面的

ワールド

アングル:大火災後でも立法会選挙を強行する香港政府

ビジネス

リオ・ティント、コスト削減・生産性向上計画の概要を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story