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「道徳的純真無垢」派にとっては戦没者追悼も「差別的」で「不道徳」
一般的なイギリス人は、こうした「道徳的純真無垢」は危機のない平和な時代に生きる人々だけが持つ贅沢品であること、そしてイギリスが戦争に勝てたのは非常に残忍な軍事行動を進んで命じ、実行する人々がいたおかげであるということを感じ取っている。
カルチャーウォー(文化戦争)とはまさにこういうもの。社会の価値観が疑問視されるようになり、徐々におとしめられ、ある時点でとんでもなく異なる別の価値観が分不相応にのさばるようになるのは、大衆を混乱させる出来事だ。
社会は変わり続けているし、開かれた議論は自由社会に欠かせない要素だ。でも多くのイギリス人にとっては、最初は少数の急進的な学者が唱え始め、それをメディアが盛んに取り上げ、次第に学校で多様な見解として教えられるようになり、大学生にものすごい勢いで支持されていく......というお手軽すぎるパターンが存在するように思われてならない。
数年、あるいは数十年の間に、世間の常識が完全に崩れ去ることはある。まだ戦没者追悼はその域に達していないが、僕がさらにある程度長く生きる頃にはあり得るのではないか。
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