トランプ氏、エネルギー非常事態宣言 パリ協定離脱し政策転換

トランプ次期米大統領はエネルギーに関する国家非常事態を宣言する大統領令に署名すると、次期政権当局者が20日明らかにした。19日撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
Timothy Gardner Valerie Volcovici Andrea Shalal
[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、エネルギーに関する国家非常事態を宣言、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱する大統領令に署名した。過剰な規制を撤廃し、すでに高水準にある米国の石油・ガス生産を最大化する包括的な計画を打ち出した。
米国のエネルギー政策は、過去4年間に化石燃料からの移行を推進し、気候変動対策で主導的立場の確立を目指してきたバイデン前政権から大きく転換することになる。
トランプ氏は就任演説で、「米国は再び製造業の国になる。米国は地球上のどの国よりも大量の石油とガスを保有している」とし、「われわれはそれを使う」と述べた。
大統領令が消費者物価の引き下げと米国家安全保障の強化につながるという期待を示し、「われわれは価格を引き下げ、戦略備蓄を上限まで補充し、米国のエネルギーを世界中に輸出する」と語った。
トランプ氏はまた、アラスカ州の天然資源開発、バイデン氏の電気自動車(EV)比率目標の撤回、洋上風力発電のリース停止、 新たな液化天然ガス(LNG)プロジェクトの輸出許可申請の処理再開などの大統領令にも署名した。
環境保護団体は大統領令を巡り法廷で争う意向をこれまでに示している。
裁判の準備を進めている非営利団体アースジャスティスのプログラム担当上級副社長、サム・サンカー氏は、非戦時におけるエネルギー緊急事態宣言はまれで、前例がないため、潜在的な法的脆弱性があると述べた。
大統領令は発電所に対する環境規制の緩和、新たな発電所建設の加速、送電・パイプライン計画の認可緩和、新たな連邦政府所有地の開放を目指している。トランプ政権当局者は「手頃な価格で信頼できる米国のエネルギーを放出する」ことが目的だと述べた。