ニュース速報
ワールド

バイデン氏、退任前にミリー氏らに恩赦 トランプ氏の報復阻止

2025年01月21日(火)02時42分

バイデン米大統領は20日、トランプ次期米大統領が報復対象にしている人物に対し予防的恩赦を出すと発表した。写真は2023年9月、ミリー前統合参謀本部議長(左)と握手を交わすバイデン大統領(2025年 ロイター/Evelyn Hockstein)

Doina Chiacu

[ワシントン 20日 ロイター] - バイデン前大統領は20日、退任直前にトランプ米大統領が報復対象にしている人物に対し予防的恩赦を出すと発表した。

恩赦の対象は共和党元議員のリズ・チェイニー氏や米軍のマーク・ミリー前統合参謀本部議長、国立アレルギー感染症研究所長を務めたアンソニー・ファウチ氏ら。2021年1月6日のトランプ支持者による米国議会議事堂襲撃事件を追及した下院特別委員会のメンバー全員のほか、委員会で証言した警察官らも含まれる。

バイデン氏はこのほか「根拠のない政治的な調査」の標的となることを防ぐため、自身のきょうだいを含む親族5人に対する恩赦も発表した。

この日に大統領に就任したトランプ氏は、昨年11月の大統領選勝利以来、自らの敵とみなす人々の訴追を繰り返し求めてきた。

バイデン氏はトランプ氏には言及せず、公務員の一部が職務を遂行したために脅迫や威嚇(いかく)を受けていることに懸念を表明。「公務員は名誉と栄誉をもって国家に奉仕しており、不当かつ政治的な動機による訴追の標的となるべきではない」と述べた。  

トランプ大統領は12月、議会議事堂襲撃事件に関する議会の捜査を主導したチェイニー氏の役割を巡り、FBIに捜査を依頼する要求を支持。ファウチ氏は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)時、トランプ氏と頻繁に衝突した。ミリー氏は、先月出版されたボブ・ウッドワード氏の著書の中でトランプ氏を「根っからのファシスト」と呼んだとされる。

チェイニー氏は民主党のベニー・トンプソン下院議員との連盟の声明でバイデン氏に謝意を表明。「今回の恩赦は法律違反に対してではなく、法を守ったことに対して与えられた」と述べた。

ファウチ氏は新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)の期間中、当時のトランプ大統領と対立。トランプ氏の支持者は現在もファウチ氏に反感を示している。

ファウチ氏はロイターに対し「根拠のない非難から私を守ろうとするバイデン氏の取り組みに感謝している」と述べた。同時に、自身は恩赦を求めていなかったとした上で、「私は何も悪いことをしておらず、これは罪を認めるものではない」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、FOMC通過で ダウ上昇

ビジネス

米0.25%利下げは正しい措置、積極緩和には警鐘 

ビジネス

BofA、米国内の最低時給を25ドルに引き上げ 2

ビジネス

7月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比4.
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中