ニュース速報
ワールド

アングル:韓国大統領代行の韓悳洙首相、超党派の実務家と定評

2024年12月14日(土)19時01分

 韓国国会は14日、尹錫悦大統領に対する2度目の弾劾訴追案の採決を行い、賛成多数で可決した。これを受けて大統領代行となる韓悳洙首相(写真)は、超党派の実務家であり、理性的な人物としても定評がある。5月撮影(2024年 ロイター/Kim Soo-hyeon)

Joyce Lee

[ソウル 14日 ロイター] - 韓国国会は14日開いた本会議で、尹錫悦大統領の戒厳令宣布を巡り野党が提出した大統領に対する2度目の弾劾訴追案の採決を行い、賛成多数で可決した。尹大統領は職務停止となり、憲法裁判所が弾劾の可否を審理する間、韓悳洙首相が大統領代行を務める。

党派で分断されている韓国において、韓氏は党派を超えてキャリアを積んできた実務家であり、理性的な人物としても定評がある。

韓氏は大統領代行として、過去40年間で最も深刻な政治危機の中で政府の機能を維持し、北朝鮮の脅威や国内経済の減速に対処するという困難な仕事に直面することになる。

現在75歳の韓氏は、保守・リベラルを問わず、5人の大統領の下で30年以上にわたり指導的地位を経験。駐米大使、財政相、通商相、政策調整担当大統領秘書官、首相、経済協力開発機構(OECD)大使のほか、さまざまなシンクタンクや組織のトップを歴任した。

ある元政府高官は「韓氏は(5人の大統領の下で)働いたにもかかわらず、政治色のない根っからの公務員だ」と評した。

韓氏の大統領代行としての役割は、憲法裁が尹大統領の弾劾の可否を決定するまで、数カ月続く見通し。弾劾が確定すれば尹大統領は失職し、大統領選挙を60日以内に実施しなければならないが、それまで韓氏が代行を務めることになる。

最大野党「共に民主党」は、尹大統領の戒厳令宣布を阻止できなかったとして、韓氏を捜査対象に加えるよう申し立てている。国会が韓氏弾劾を可決すれば、財政相が大統領代行となる。

韓国の憲法には、首相が大統領代行を務める場合に行使できる具体的な権限の範囲が明記されていない。大半の学者は、国政のまひを防ぐ程度の限定された権限しかないと考えているが、大統領としての全ての権限を行使できるとする意見もある。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中