ニュース速報
ワールド

中東の転換点に、シリア反体制派が首都掌握 アサド氏はロに亡命

2024年12月09日(月)08時52分

 12月8日、シリアの反体制派は、抵抗を受けることなく首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放した。これにより、父の政権から50年余り続いたアサド一族による体制が崩壊した。写真は反体制派のゴラニ最高指導者。ダマスカスで撮影(2024年 ロイター/Mahmoud Hassano)

Maya Gebeily Timour Azhari

[ダマスカス 8日 ロイター] - シリアの反体制派は8日、抵抗を受けることなく首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放した。これにより、父の政権から50年余り続いたアサド一族による体制が崩壊した。

ロシア国営メディアは同国大統領府の関係者の話として、シリアのアサド前大統領が人道的な理由で亡命を認められ、家族とともにモスクワに到着したと伝えた。

アサド政権の崩壊でイランとロシアがアラブ世界に影響力を行使していた「とりで」が拭い去られた形となり、中東にとって大きなターニングポイント(転換点)となる。

トルコが部分的に支援し、イスラム教スンニ派のジハード(聖戦)主義に根ざした反体制派の手によるアサド政権の突然の転覆は、イランが同盟相手に武器を行き渡らせることを制限するほか、ロシアは地中海の海軍基地を失う可能性がある。トルコ、レバノン、ヨルダンにまたがるキャンプに10年以上散らばっていた数百万人の難民が故郷に帰還する道を開くかもしれない。

反体制派のゴラニ最高指導者はダマスカス中心部にあるモスクで大衆を前に「兄弟たちよ、偉大な勝利を経てこの地域全体に新たな歴史が刻まれようとしている」と語り、多大な努力によってシリアは「イスラム国家の道標」になるとした。

反体制派連合は権力移譲を完了させるため行動していると表明した。

アサド政権下で首相を務めたジャラリ氏は自由選挙を求め、移行期間について話し合うためゴラニ氏と接触していると述べた。

<バイデン氏が支援表明>

バイデン米大統領は8日、シリアについて、情勢安定化に向け同国内のパートナーと協力していくと表明した。

イスラエルのネタニヤフ首相はアサド政権の崩壊について、イスラエルがイランとイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに打撃を与えたことが要因になったとの認識を示した。

フランスのマクロン大統領は「野蛮な国家が倒れた」と述べた。

イランの英語放送局プレスTVによると、シリア反体制派が8日、イラン大使館を襲撃。イラン外務省は、シリアの運命はシリア国民が唯一責任を負うと表明した。

レバノン治安筋によると、ヒズボラは7日にシリアから全ての残存兵力を引き揚げた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ

ワールド

野村、今週の米利下げ予想 依然微妙
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中