ロシア軍情報機関、英国と欧州で「騒乱」企図=英MI5トップ
英情報局保安部(MI5)のマッカラム長官(写真)は8日、英国への脅威に関する年次演説で、ロシア軍の情報機関は英国と欧州で「騒乱」を引き起こそうとしているとの認識を示した。2020年10月、ロンドンで撮影(2024年 ロイター/UK Government/Handout via REUTERS)
Michael Holden
[ロンドン 8日 ロイター] - 英情報局保安部(MI5)のマッカラム長官は8日、英国への脅威に関する年次演説で、ロシア軍の情報機関は英国と欧州で「騒乱」を引き起こそうとしているとの認識を示した。国際武装組織アルカイダと過激派組織「イスラム国(IS)」からの脅威の高まりが最大の「テロの懸念」だと表明した。英国内を対象とする相次ぐ攻撃計画の背後にイランがいるとも非難した。
マッカラム氏によると、昨年の英国への国家的な脅威に対する調査件数は48%増えた。ロシアとイランが犯罪者や麻薬密売人、代理人を使って「汚い仕事」を実行しようとしているためだという。2017年3月以来、MI5と警察はこうした計画が実行への最終段階にあった43件を阻止した。最終段階にあった複数の大量殺人計画も含まれるという。
マッカラム氏は、最も懸念しているのは中東紛争に乗じようとしているアルカイダと、イスラム国による脅威の深刻化だと指摘した。
ただ、マッカラム氏は8日の演説で、ロシアとイランによる国家的な脅威により重点を置いた。ロシアのウクライナ侵攻以来、欧州からロシアの外交官750人超が追放され、今年に入って最後のロシア軍情報機関員が英国から追放されたものの、ロシアの国家機関が代理組織などに請け負わせていることは注目されると指摘。「ロシア軍情報総局は英国や欧州で騒乱を起こすという継続的な任務を負っており、放火や破壊工作などが起きている。危険な行為が一層無謀に実行されている」とした。詳細については言及しなかった。
22年1月以降、イランが支援し、英国民などの命に関わるような脅威をもたらす恐れのある20件の計画にMI5と警察が対応したことも紹介。こうした攻撃計画が「英国では前例のないペースで次々と発生している」と述べた。