ニュース速報
ワールド

日中韓首脳会合、中国首相「新たな始まり」 貿易などで共同宣言

2024年05月27日(月)18時17分

 日中韓3カ国は27日、韓国・ソウルで首脳会談を開き、協力を進めていくことを確認した。3カ国の首脳は、北朝鮮を含む地域情勢や貿易などについて協議した。写真は首脳会談の様子。ソウルで代表撮影(2024年 ロイター)

Hyonhee Shin

[ソウル 27日 ロイター] - 日中韓3カ国は27日、韓国・ソウルで約4年ぶりに首脳会談を開き北朝鮮を含む地域情勢や貿易などについて協議、協力を進めていくことを確認した。

中国の李強首相は首脳会談の開幕に当たり、今回の会談は「再開と新たな始まりの双方」を意味すると発言。3カ国間の包括的な協力再開を呼びかけ、そのためには政治と経済・貿易問題を分けるべきだとし、保護主義とサプライチェーン(供給網)のデカップリング(切り離し)をやめるよう求めた。

李氏は「中国、韓国、日本にとって緊密な関係は変わらず、危機対応を通じて達成された協力の精神も、地域の平和と安定を守る使命も変わらない」と述べた。

<共同宣言を採択>

3カ国首脳は共同宣言を採択し、自由貿易協定(FTA)締結に向けた協議加速や、市場開放を維持しサプライチェーンの混乱を回避する避けるというコミットメントを再確認した。  

共同宣言では、日中韓が最高レベルのより頻繁な意思疎通を正式な枠組みとすることや、気候変動・保全・医療・貿易・国際平和などでの協力を呼びかけた。

また、文化交流・観光・教育を通じて2030年までに人的交流を4000万人に増やす目標も掲げた。

パンデミックに向けた準備と知的財産保護に関する個別の声明も発表した。

<北朝鮮問題>

岸田首相は、この日未明に北朝鮮が通告してきた人工衛星打ち上げを強行すれば国連安保理決議に違反し、強く中止を求めると述べた。その上で、北朝鮮の非核化と朝鮮半島の安定が日中韓3カ国の共通利益であることを改めて確認した。

韓国の尹錫悦大統領も、北朝鮮の衛星打ち上げに国際社会が強く対応していく必要があると述べた。

李首相は、全ての当事者が自制し、朝鮮半島情勢をこれ以上複雑にしないよう呼びかけた。中国は北朝鮮の唯一の軍事同盟国で、最大の貿易相手国。

岸田首相はロシアのウクライナ侵攻について、世界のどこであれ力による一方的な現状変更の試みは決して求められるものではないと述べ、日本の立場を説明した。

また、ハイレベルな規律を含め、未来志向の日中韓自由貿易協定(FTA)のあり方について率直な意見交換を行っていきたいと述べた。

外務省の小林麻紀報道官は記者団に対し、首脳会談の雰囲気が「非常に建設的」だったと説明した。

尹大統領によると、首脳会談では透明で予測可能な貿易・サプライチェーン環境を構築することでも合意した。詳細は明らかにしていない。

日中韓の財界首脳は27日、貿易促進とサプライチェーン安定化に向け3カ国間の協力を強化することで合意したと発表した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下

ワールド

米大統領とヨルダン国王が電話会談、ガザ停戦と人質解

ワールド

ウクライナ軍、ロシア占領下クリミアの航空基地にミサ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 7
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 8
    もろ直撃...巨大クジラがボートに激突し、転覆させる…
  • 9
    日本人は「アップデート」されたのか?...ジョージア…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 6
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中