ニュース速報

ワールド

武器の輸出規制、次期戦闘機開発で見直しを議論=小野寺元防衛相

2022年11月25日(金)11時08分

自民党の安全保障調査会長を務める小野寺五典元防衛相はロイターとのインタビューで、武器の輸出規制について、英国と共同開発する方向で調整している次期戦闘機を念頭に見直しを議論していることを明らかにした。写真は閣僚協議でロシアを訪問した際の小野寺氏。2018年7月、モスクワで撮影(2022年 ロイター/Maxim Shemetov)

[東京 25日 ロイター] - 自民党の安全保障調査会長を務める小野寺五典元防衛相はロイターとのインタビューで、武器の輸出規制について、英国と共同開発する方向で調整している次期戦闘機を念頭に見直しを議論していることを明らかにした。

複数の関係者によると、航空自衛隊F2戦闘機の後継機開発を進める日本は、同じタイミングで次期戦闘機開発に取り組む英国と計画を統合することを協議。イタリアも加わる見通しで、来月にも合意する。

開発参加国が技術をそれぞれ持ち寄ることから、英国やイタリアが輸出を決めた場合、日本が担当する部分も第3国へ出ていくことになる。

小野寺氏は「作る部品はパートパートでみんなシェアすることになる。日本がシェアした部分を外したら飛行機が飛ばない」と説明。共同開発国が第3国に輸出を決めても「日本は反対もできないし、日本の部品を外せとも言えないので、そういう時はどうしたらいいのか、少し議論をしている」と語った。

日本は2014年、防衛装備移転三原則を導入して武器の禁輸方針を緩和した。しかし、輸出できる装備品を運用指針で救難・輸送・警戒・監視・掃海に限定しており、戦闘機や戦車など殺傷能力のあるものの移転は想定していない。また、装備移転協定を個別に結んでいない国へも輸出ができない。

小野寺氏は「今後、共同開発国以外のところに出す場合は、少し国内では議論を整理しなければいけない」と述べた。

政府は年末までに「国家安全保障戦略」など防衛3文書を改定する予定で、武器輸出の見直しも俎上に上っている。与党の自民・公明両党は装備移転の運用指針を見直すことで一致しているが、詳細は今後の議論で詰める。

<有事の日米統合運用>>

このほか小野寺氏は、有事の際に自衛隊と米軍が指揮命令を一体化する日米統合指令部の設置も与党内で議論していることを明らかにした。「日本を防衛するために、部隊を動かすときは日米で共同で動くことになる。共同の司令部をどうしたらいいのかという議論は、当然出ている」と語った。

ただ、韓国軍と米軍のような関係までの踏み込んだ議論はしていないという。今も北朝鮮と戦争状態にある韓国には米韓連合軍司令部があり、韓国軍は有事の際、米軍の指揮下に事実上入る。

一方、陸海空の各自衛隊を一体的に運用する統合司令部を設ける議論は「進めると思う」とした。現在は3自衛隊をまとめる統合幕僚監部があるが、統合幕僚長には首相や防衛大臣を補佐する役割もあり、部隊の指揮に専念できない。

小野寺氏は「有事の際に大臣が司令官として部隊を動かすよりは、陸海空の部隊をよく知る司令官を置くべきではないか」と語った。

*インタビューは24日に実施しました。

(金子かおり、Tim Kelly、豊田祐基子 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時700円超安 前日の上げ

ワールド

トルコのロシア産ウラル原油輸入、3月は過去最高=L

ワールド

中国石炭価格は底入れ、今年は昨年高値更新へ=業界団

ワールド

カナダLNGエナジー、ベネズエラで炭化水素開発契約
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中