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アングル:ラスベガス乱射の容疑者、裕福なギャンブル愛好家

2017年10月04日(水)08時28分

9月2日、スティーブン・パドック容疑者(64)は数年前、ラスベガスのカジノ街から車で1時間ほどの所にあるネバダ州の静かな退職者向けコミュニティーに家を購入し、落ち着いた生活に馴染もうとしているように見えた。写真はパドック容疑者の自宅があるメスキートのコミュニティ。(2017年 ロイター/Steve Marcus)

Jonathan Allen and Dan Whitcomb

[2日 ロイター] - アパート管理人だったギャンブル愛好家のスティーブン・パドック容疑者(64)は数年前、大好きなラスベガスのカジノ街から車で1時間ほどの所にあるネバダ州の静かな退職者向けコミュニティーに家を購入し、落ち着いた生活に馴染もうとしているように見えた。

ラスベガスのカジノホテル32階の部屋に立てこもり、カントリー音楽の野外フェスティバル会場に向けて複数の銃で乱射し、米国史上最悪となる59人を殺害、520人以上を負傷させることが出来るような兆候はなかった、と同容疑者を知る人々は証言する。

「彼は裕福で、ビデオポーカーで遊んだり、クルーズに乗ったりするのが好きだった」。同容疑者の兄弟エリック・パドック氏は2日、フロリダ州オーランドの自宅前で記者団にそう語った。

「銃など抜いたことはない。まったく訳が分からない」。エリックさんは、同容疑者が拳銃数丁を金庫に保管してしていたことは知っていたが、自動小銃はなかったと話す。

パドック容疑者が所有していた銃34丁を警察は押収。うち16丁はホテルの部屋から、18丁はメスキートにある同容疑者の自宅から押収した。自動小銃や半自動のライフルを違法にマシンガンに改造したものもあったという。

エリックさんはパドック容疑者は穏やかな性格だったと語る。同容疑者は、ギャンブルが合法で、フロリダ中部の多湿を嫌っていたことから、ネバダ州に移住したという。

同容疑者は、ゴルフやギャンブル愛好家に人気の砂漠の町メスキートにある自宅に、恋人とともに住んでいたもよう。事件発生時には、この女性は東京に滞在中だったが、ラスベガス警察は女性が帰国し次第、事情を聴く方針だ。捜査当局は、この女性は事件とは無関係だとしている。

エリックさんが同容疑者と最後に連絡を取ったのは9月初旬で、兄弟の母親が住むフロリダ州で、ハリケーン「イルマ」通過後に発生した停電の状況について、メッセージを交わしたという。

「彼は、政治組織や宗教組織とは何のつながりもなかった」とエリックさんは言う。

<全米を転々と>

兄弟の父親パトリック・ベンジャミン・パドック氏は、1960年代に銀行強盗を働いた容疑で連邦捜査局(FBI)の「最重要指名手配容疑者」のリストに載ったことがあった。兄弟はほとんど父親を知らずに成長した。パドック容疑者自身には犯罪歴はなかったという。

同容疑者は最近、数万ドル単位の金額をギャンブルに投じていたと、NBCは捜査関係筋の話として報じた。勝ち負けは不明だという。

公的記録によると、同容疑者は、フロリダ州のほか、カリフォルニア州やネバダ州の別の地域に数年ずつ暮らしており、米西部や南東部を転々としていたことがうかがえる。

米ロッキード・マーチンの広報担当者は、パドック容疑者が1985年─1988年に同社の前身にあたる企業で働いていたことを明らかにしたが、詳細には言及しなかった。

同容疑者は、一時住んでいたテキサス州からハンティング免許を取得。また、パイロット免許も持っており、少なくとも1機のシングルエンジン飛行機が同容疑者の名前で登録されている。

2015年初頭には、アリゾナ州との州境に近いネバダ州メスキートの、新しく作られた退職者向けコミュニティに、2階建ての質素な家を購入した。

「きちんと片付いた小ぎれいな家で、普通でないところは何もない」と、メスキート警察の広報担当者は2日、記者団に語った。

FBIは、パドック容疑者は国際武装グループとのつながりはなかったとしている。

ネバダ州メスキートに移住する前は、パドック容疑者はテキサス州で、「セントラル・パーク」というアパートの建物管理をしていた。ワシントン・ポスト紙は、パドック容疑者がほかに会計士として働いたことがあり、不動産にも投資していたと報じた。

2015年の時点でパドック容疑者は独身だった。だが、カリフォルニア州在住だった1980年代に婚姻していたとみられている。

銃乱射事件の実行犯としては、同容疑者は珍しい部類に属する、とメリーランド大のローラ・デューガン教授(犯罪学)は指摘する。

「ほとんどの銃乱射実行犯は若い世代だ。今回のケースには、困惑している。なぜ60代の裕福な男が、こんなことをするのか」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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