ニュース速報

ワールド

中国人観光客のビザ要件、一段緩和へ 所得制限下げ検討=関係筋

2017年03月30日(木)19時10分

 3月30日、政府内で中国人観光客のビザ要件緩和策が、浮上している。有効期間中に何度も訪日できる「数次ビザ」の年収制限について、現在の実質400万円程度から300万円程度まで引き下げる方向で検討が始まった。写真は都内の家電量販店で2016年2月撮影(2017年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 30日 ロイター] - 政府内で中国人観光客のビザ要件緩和策が、浮上している。有効期間中に何度も訪日できる「数次ビザ」の年収制限について、現在の実質400万円程度から300万円程度まで引き下げる方向で検討が始まった。複数の関係筋が明らかにした。中国人観光客の爆買いは減少したが、何度も日本を訪れるリピーターが増加している現状を反映し、さらなる訪日客増加につなげたい考えだ。

日本への入国でビザが必要な近隣主要国は、中国、ロシア、インド、ベトナム、フィリピンなど。韓国や台湾、香港、米国はビザが免除されている。安倍晋三政権下で、随時要件緩和を進めており、昨年5月にも中国など5カ国のビザ要件緩和を戦略的に進めていく方針を打ち出していた。

現在、中国人訪日客が数次ビザを取得するには、1)沖縄・福島・宮城・岩手県を訪問する、2)もしくは相応の高所得者である必要──の用件がある。

外務省は所得制限の金額について公表していないが、旅行業界などでは実質20-25万元(400万円台)とみなされている。今回、政府内で検討され始めたのは、これを実質300万円台まで引き下げるという緩和策。「不足傾向だった国内宿泊施設の増加ペースなどを見ながら今後、適切なタイミングで打ち出していきたい」(政府・与党関係者)という。

訪日(インバウンド)客拡大は、アベノミクスで最も成功している経済政策のひとつ。2011年(暦年)には年間621万人だった訪日客が16年には2400万人まで拡大、政府は2020年4000万人、2030年6000万人の目標を掲げる。政府内には、17年度に前年度比20%増の2880万人も可能という見方もある。

特に拡大しているのが中国人観光客。11年の104万人から16年は637万人まで拡大し、訪日客の4人に1人を占める。百貨店や電気店などでの爆買いこそ一服しているが、紙おむつや化粧品など日用品の購入は、統計上では把握できないものの拡大傾向が継続している。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ビジネス

米貿易赤字、4月は23%増の746億ドル 約8年ぶ

ワールド

ハワイのキラウエア火山が噴火、溶岩は火口内に

ワールド

ローマ教皇の手術終了、「合併症なし」=バチカン

ワールド

IMF、ウクライナ南部のダム決壊の影響「大きく懸念

MAGAZINE

特集:最新予測 米大統領選

2023年6月13日号(6/ 6発売)

トランプ、デサンティス、ペンス......名乗りを上げる共和党候補。超高齢の現職バイデンは2024年に勝てるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    「中で何かが動いてる」と母 耳の穴からまさかの生き物が這い出てくる瞬間

  • 2

    性行為の欧州選手権が開催決定...ライブ配信も予定...ネット震撼

  • 3

    ワグネルは撤収と見せかけてクーデーターの機会を狙っている──元ロシア軍情報部門将校 

  • 4

    自社株買いでストップ高!「日本株」の評価が変わり…

  • 5

    元米駆逐艦長が「心臓が止まるかと」思ったほど危機…

  • 6

    メーガン妃が「絶対に誰にも見られたくなかった写真…

  • 7

    「ダライ・ラマは小児性愛者」 中国が流した「偽情報…

  • 8

    プーチンは体の病気ではなく心の病気?──元警護官が…

  • 9

    マーサ・スチュワート、水着姿で表紙を飾ったことを…

  • 10

    ワグネルに代わってカディロフツィがロシアの主力に…

  • 1

    ロシアの「竜の歯」、ウクライナ「反転攻勢」を阻止できず...チャレンジャー2戦車があっさり突破する映像を公開

  • 2

    「中で何かが動いてる」と母 耳の穴からまさかの生き物が這い出てくる瞬間

  • 3

    「日本ネット企業の雄」だった楽天は、なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」

  • 4

    米軍、日本企業にTNT火薬の調達を打診 ウクライナ向…

  • 5

    「ダライ・ラマは小児性愛者」 中国が流した「偽情報…

  • 6

    敗訴ヘンリー王子、巨額「裁判費用」の悪夢...最大20…

  • 7

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 8

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎ…

  • 9

    どんぶりを余裕で覆う14本足の巨大甲殻類、台北のラ…

  • 10

    ウクライナ側からの越境攻撃を撃退「装甲車4台破壊、戦…

  • 1

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎられて死亡...血まみれの現場

  • 2

    世界がくぎづけとなった、アン王女の麗人ぶり

  • 3

    カミラ妃の王冠から特大ダイヤが外されたことに、「触れてほしくない」理由とは?

  • 4

    「ぼったくり」「家族を連れていけない」わずか1年半…

  • 5

    F-16がロシアをビビらせる2つの理由──元英空軍司令官

  • 6

    築130年の住宅に引っ越したTikToker夫婦、3つの「隠…

  • 7

    歩きやすさ重視? カンヌ映画祭出席の米人気女優、…

  • 8

    「飼い主が許せない」「撮影せずに助けるべき...」巨…

  • 9

    預け荷物からヘビ22匹と1匹の...旅客、到着先の空港…

  • 10

    キャサリン妃が戴冠式で義理の母に捧げた「ささやか…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中