ニュース速報
ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出資案=関係筋

2025年04月26日(土)20時17分

トヨタグループの中核企業の豊田自動織機が、非上場化を検討していることが分かった。写真はトヨタ自動車のロゴ。2024年11月、タイのバンコクで撮影(2025年 ロイター/Athit Perawongmetha)

Maki Shiraki

[東京 26日 ロイター] - トヨタグループの中核企業の豊田自動織機が、非上場化を検討していることが分かった。複数の投資ファンドから資産の有効活用などをたびたび求められる中、長期的に経営の自由度向上を図る。トヨタ自動車やグループ企業が特別目的会社(SPC)を立ち上げ、株式を公開買い付け(TOB)する案が浮上している。関係者2人が明らかにした。

豊田織機はトヨタのルーツとなる企業で、トヨタのほか、デンソーなどグループ企業の株式を多く保有する。ここ数年は株主の投資ファンドから親子上場や株式持ち合いの解消、資本コストや株価を意識した経営の実現など、さまざまな要求を受けてきた。

関係者の1人によると、豊田織機は非上場化によって経営資源を事業や投資に振り向けたい考え。別の関係者によれば、トヨタとしてはグループの企業統治(コーポレートガバナンス)を強化する狙いがある。

豊田織機の時価総額は25日時点で約4兆3000億円。TOBは一般的にプレミアム(上乗せ)を付けて株式を買い付けることから、買収総額は5兆円以上になる可能性がある。

豊田織機は26日、「資本効率の向上やSPCを通じた非公開化などのさまざまな提案を受けている中、企業価値向上のため、あらゆる可能性を検討している」とのコメントを出した。トヨタも同日、「一部出資することも含め、現在さまざまな可能性を検討」しているとした。

両社とも現時点で決定した事実はないとし、「開示すべき事項が生じた場合には、速やかに開示する」とした。

同関係者らによると、SPCにはトヨタやグループ会社が出資し、金融機関からも融資を受けて買収資金を調達することを検討している。ただ、出資する側の関係者は「投資効果が見込めないとわれわれの株主に賛同してもらえないかもしれない」とし、株主の理解も得る必要があると話している。

豊田織機は1926年、トヨタグループ創始者で自動はた織り機を発明した豊田佐吉氏が設立。佐吉氏はトヨタ自動車の豊田章男現会長の曽祖父に当たる。佐吉氏の長男・喜一郎氏が豊田織機社内に立ち上げた自動車部門が独立する形で37年、トヨタ自動車工業(現:トヨタ自動車)が誕生した。

豊田織機は49年に東京証券取引所に上場。現在は祖業である繊維機械のほか、フォークリフト、エンジンなど自動車部品の製造、トヨタのスポーツ多目的車(SUV)「RAV4」の生産なども手がけている。

2024年9月時点でトヨタが筆頭株主として約24%の株式を保有する一方、豊田織機もトヨタ株を9・07%、デンソー株を5.41%保有するなどしている。

トヨタグループでは22年以降、エンジンや車両の型式などでの認証不正が相次いで発覚し、トヨタの豊田会長が主導してグループの統治改革を進めている。豊田織機でも、フォークリフトや自動車用エンジンの認証で不正行為がみつかった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、ロは「張り子の虎」に反発 欧州が挑発な

ワールド

プーチン氏「原発周辺への攻撃」を非難、ウクライナ原

ワールド

西側との対立、冷戦でなく「激しい」戦い ロシア外務

ワールド

スウェーデン首相、ウクライナ大統領と戦闘機供与巡り
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中