ニュース速報
ビジネス

日銀、0.5%への利上げ決定 見通し実現の確度「高まってきている」

2025年01月24日(金)13時25分

 日銀は24日、政策金利である無担保コール翌日物を0.5%程度とするよう誘導目標の引き上げを決めた。写真は都内の日銀の建物と日本の国旗。昨年3月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada Takaya Yamaguchi

[東京 24日 ロイター] - 日銀は23―24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%に引き上げることを賛成多数で決めた。利上げは昨年7月以来半年ぶりで、政策金利は2008年10月以来の高水準となった。

日銀は声明で、経済・物価が展望リポートで示してきた見通しにおおむね沿って推移し、基調的な物価上昇率が見通し期間後半に物価目標とおおむね整合的な水準になるなどの見通しが実現する確度が「高まってきている」とした。

利上げの決定は8対1。中村豊明委員は、法人企業統計などで企業の「稼ぐ力」が高まったことを確認した上で次回の決定会合で政策変更を判断すべきだとして反対した。

日銀当座預金の超過準備への付利は0.5%に引き上げる。補完貸付制度における基準貸付利率も0.25%ポイント引き上げて0.75%とすることを決めた。いずれも27日から適用する。

日銀は声明で、経済は「一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復している」として従来の判断を維持。賃金については、企業収益が改善傾向を続け、人手不足感が強まる下で、今年の春闘では「昨年に続きしっかりとした賃上げを実施するといった声が多く聞かれている」と指摘した。

基調的な物価上昇率は、人件費や物流費などの上昇を販売価格に反映する動きが広がっており「2%の物価目標に向けて徐々に高まってきている」と評価した。海外経済については「緩やかな成長経路をたどっており、様々な不確実性は意識されているものの、国際金融資本市場は全体として落ち着いている」とした。

日銀は2%物価目標の持続的・安定的な実現の観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切と判断した。その上で、政策金利の変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き「緩和的な金融環境は維持される」とした。

今後の金融政策運営については、現在の実質金利が極めて低い水準にあるとした上で、今回の展望リポートで示した経済・物価見通しが実現していくとすれば「それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と明記し、利上げ余地を示す従来の文言を維持した。日銀は引き続き、2%物価目標の下、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく方針だ。

日銀はまた、貸出増加支援資金供給について、6月末で新規の貸し付けを終了することを決めた。経過措置として、7月以降年内は満期到来額の半分を上限に貸付期間1年の借り換えを認めるとした。全員一致で決めた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に

ワールド

トランプ氏、ウクライナ大統領と会談 トマホーク供与

ビジネス

NY外為市場=ドル、週間で対円・スイスフランで下落
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 9
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中