ニュース速報
ビジネス

25年は世界の安定成長とディスインフレ継続へ=IMF専務理事

2025年01月12日(日)13時24分

 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は10日、2025年の世界経済は堅調に成長し、ディスインフレが続く見通しだと記者団に明らかにした。ワシントンで昨年10月撮影(2025年 ロイター/Kaylee Greenlee Beal)

Andrea Shalal

[ワシントン 10日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は10日、2025年の世界経済は堅調に成長し、ディスインフレが続く見通しだと記者団に明らかにした。IMFは17日に最新の世界経済見通しを発表する。

トランプ次期大統領の通商政策を巡る不確実性は高く、これが世界経済が直面する逆風に拍車をかけ、長期金利を上昇させているが、米経済は予想よりも「かなり」好調だと語った。

また、インフレ率が米連邦準備理事会(FRB)の目標に近づきつつあり、労働市場の安定を示すデータもあることから、FRBはさらなる利下げに踏み切る前に新たなデータを待つ余裕があると指摘。全体として、金利は「かなり長い間」高止まりするとの見方を示した。

ゲオルギエワ氏は世界経済に関する具体的な見通しは示さなかった。

IMFは10月、米国、ブラジル、英国の24年の経済成長率予測を引き上げたが、中国、日本、ユーロ圏については、新たな貿易戦争、武力紛争、金融引き締め政策のリスクを理由に引き下げた。

その際、24年の世界成長率予測は7月時点の3.2%に据え置いたが、25年については7月時点の予想から0.1%ポイント引き下げて3.2%とした。中期的には、5年以内にコロナ禍前のトレンドを大きく下回る3.1%に低下すると見込んだ。

ゲオルギエワ氏は「米経済の規模と役割を考えれば、次期政権の政策方針、特に関税、税制、規制緩和、政府の効率性に世界的な関心が集まっているのは驚くことではない。今後の貿易政策を巡る不確実性は特に高く、とりわけグローバル・サプライチェーンにより組み込まれている中堅経済国やアジア諸国などに対する逆風に拍車をかけている」と述べた。

また、短期金利が低下しているにもかかわらず、この不確実性が長期金利の上昇に表れているのは「非常に異例」であり、最近の歴史では見られなかった傾向だと指摘した。

同氏は、欧州連合(EU)は成長のある程度の停滞、インドは成長のやや鈍化が予想され、ブラジルはインフレの若干加速に直面しているとするIMFの見解を明らかにした。

中国については、IMFはデフレ圧力と内需の継続的な課題を確認しているとした。

ゲオルギエワ氏は、インフレ対策に必要な金利上昇が世界経済を景気後退に追い込んでいないことは注目に値するが、総合インフレ率の動向はまちまちであり、中銀は各国のデータを注意深く監視する必要があると指摘した。

また、米ドル高は新興国経済、特に低所得国の資金調達コストを上昇させる可能性があると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド、すでにロシア産石油輸入を半減=米ホワイトハ

ワールド

マレーシアGDP、第3四半期速報は前年比+5.2%

ビジネス

英、財政バッファー拡大にはトレードオフ必要=財務相

ワールド

英MI5長官、AIの脅威に警鐘 プロパガンダや選挙
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 7
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中