ニュース速報
ビジネス

中国当局者、24年成長目標の達成に自信 市場は一段の刺激策期待

2024年10月08日(火)21時16分

 10月8日、国家発展改革委員会(発改委)の鄭柵潔主任は、北京での会見で、通年の経済および社会的発展目標の達成に「十分自信がある」と述べた。写真は北京の人民大会堂に翻る中国の旗。昨年10月撮影(2024 ロイター/Edgar Su)

Kevin Yao Joe Cash Ellen Zhang

[北京 8日 ロイター] - 中国国家発展改革委員会(発改委)の鄭柵潔主任は8日、北京での会見で、通年の経済および社会的発展目標の達成に「十分自信がある」と述べた。しかし強力な財政措置を打ち出さなかったことに市場では失望感が広がった。

9月下旬以降に当局が発表した一連の景気刺激策を巡る期待から中国株式市場は上昇しており、国慶節(建国記念日)の大型連休明け8日には主要指数が一時2年ぶりの高値を付けた。だが発改委が詳細を明らかにしなかったため急速に上げ幅を縮小。香港市場は景気刺激策への期待が後退したため急落した。

鄭氏は2025年の予算の一部は前倒しして今年のプロジェクト支援に充てられると明らかにした。

地方政府を支援するため、来年の中央政府予算から1000億元(141億2000万ドル)を支出し、さらに今年末までに1000億元を主要な投資プロジェクトに充てると表明した。

財政支出を加速させるとし、マクロ経済政策を強化するために「全ての関係者がより強力な努力を続けるべきだ」と語った。

鄭氏は、中国経済はおおむね安定しているが、内外の環境はより複雑化していると指摘。「国際市場は不安定で、世界的に貿易保護主義が強まり、不確実で不安定な要素が増えている。これらは貿易、投資、金融などを通じてわが国に悪影響を及ぼすだろう」と述べた。国内経済への下押し圧力も強まっているとした。

投資家やエコノミストは、市場の楽観を下支えする財政面でのさらなる政策支援を期待している。

OCBCの為替ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「発改委の記者会見は景気刺激策に関する詳細が不足しているようだ。期待は高まったが、結果は期待外れだった」と述べた。

李強首相は8日遅くに国営テレビで、内閣による経済政策を巡る特別研究会合で、全政府部門に成長支援と政策協調の改善を求めた。

国営テレビはまた、中国は研究中の政策について具体的な計画を発表し、来年に向けた予備政策を検討するとの首相発言を伝えた。

<さらなる支援が必要>

アナリストは消費者と企業の信頼を回復し、経済をより安定した状態に戻すには時間がかかると指摘する。特に住宅市場の回復は長い道のりになる可能性がある。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の中国担当プリンシパルエコノミスト、ユエ・スー氏は「政府が今年から来年にかけて、実体経済を活性化させ、銀行の資本を増強し、不動産市場を安定させるため、1兆─3兆元の追加財政支出を実施するとわれわれは予想している」と語った。

「これは来年予定されている特別長期債に伴う投資とともに、主に25年の経済成長に影響を与えると見込まれる」という。

EIUは今年の中国の成長率予想を4.7%、来年は4.8%に据え置いた。

政府は今年の成長率目標を5%前後に設定したが、経済指標は第2・四半期以降、成長の勢いが弱まっていることを示している。

鄭氏は、不十分な内需に対処するために、政策担当者は社会的弱者への支援、消費財の下取り、高齢者介護、出産など、人々の生活を向上させ、消費と投資を刺激することに焦点を当てると述べた。

発改委の劉蘇社副主任は、今年の政府投資6兆元の大部分は特定プロジェクトに割り当てられ、9月までに発行された地方政府特別債の90%がプロジェクト建設に使用されたと明らかにした。

趙辰キン副主任も同じ会見で、中国の経済成長は第1・四半期から第3・四半期にかけて「おおむね安定」していると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

「ガザは燃えている」、イスラエル軍が地上攻撃開始 

ビジネス

英雇用7カ月連続減、賃金伸び鈍化 失業率4.7%

ワールド

国連調査委、ガザのジェノサイド認定 イスラエル指導

ビジネス

25年全国基準地価は+1.5%、4年連続上昇 大都
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中