ニュース速報
ビジネス

中国8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化、刺激策が急務との見方

2024年09月15日(日)11時00分

 中国国家統計局が14日発表した8月の経済指標は、鉱工業生産の伸びが5カ月ぶりの水準に鈍化した。小売売上高の伸びも減速したほか、新築住宅価格はさらに下落し、積極的な景気刺激策が必要になるとの見方が強まった。写真は中国浙江省湖州市の光ファイバーケーブル工場で2019年5月撮影(2024年 ロイター)

Kevin Yao Ellen Zhang Ethan Wang

[北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局が14日発表した8月の経済指標は、鉱工業生産の伸びが5カ月ぶりの水準に鈍化した。小売売上高の伸びも減速したほか、新築住宅価格はさらに下落し、積極的な景気刺激策が必要になるとの見方が強まった。

鉱工業生産は前年比4.5%増加。伸び率は7月の5.1%から鈍化し3月以来の低水準となった。ロイターがまとめたアナリスト37人の予想(4.8%増)を下回った。

小売売上高は夏の旅行シーズンのピークにもかかわらず、2.1%増と7月の2.7%増から減速。アナリスト予想は2.5%増だった。

ANZの中国担当シニアストラテジスト、シン・チャオペン氏は「経済の勢いは減速している。ボトルネックは依然として内需だ」と指摘。「現在のデータフローからすると第3・四半期国内総生産(GDP)は第2・四半期を下回る可能性が高い。大規模な景気刺激策が近く実施されると予想する」と語った。

また、INGの中国担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「逆風が吹き荒れる中、第3・四半期も終盤に差し掛かっており、政策当局者が刺激策を打ち出す時間は残り少なくなっている」と述べた。

<不動産セクター低迷続く>

1─8月の固定資産投資は前年同期比3.4%増と、市場予想の3.5%増を下回った。1─7月は3.6%増だった。

統計局の劉愛華報道官は14日の記者会見で、中国の経済運営は安定しているが、猛暑と自然災害が8月の成長に影響を与えたとの認識を示した。

問題を抱える不動産セクターが依然として成長の主な足かせとなっている。

8月の新築住宅価格は前年比5.3%下落し、2015年5月以来9年余ぶりの大幅な落ち込みを記録。調査対象の70都市で価格が前月比、前年比ともに上昇したのはわずか2都市だった。

1─8月の不動産販売と不動産投資も前年比でともに大幅な減少となった。

ブルームバーグ・ニュースによると、中国当局は住宅市場を支援するため、早ければ月内に住宅ローン5兆ドル超の金利を引き下げる可能性がある。

14日発表された全国調査ベースの8月失業率は前月の5.2%から5.3%に上昇した。内定を得るために雇用市場に参加する大卒者が増えた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀ピル氏、QEの国債保有「非常に低い水準」まで

ワールド

クラウドフレアで障害、数千人に影響 チャットGPT

ワールド

イスラエル首相、ガザからのハマス排除を呼びかけ 国

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中