ニュース速報
ビジネス

中国の大手国有銀、預金金利引き下げ 利ざや圧迫緩和へ

2024年07月25日(木)15時54分

7月25日、中国の大手国有銀行5行は預金金利を引き下げると発表した。写真は2020年中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS)の中国工商銀行のブース。2020年9月撮影(2024年 ロイター/Tingshu Wang)

[北京/上海 25日 ロイター] - 中国の大手国有銀行5行は25日、預金金利を引き下げると発表した。中国人民銀行(中央銀行)が今週、景気を後押しするため予想外に主要金利を引き下げたことを受け、既に記録的な低水準にある利ざやへの打撃を和らげる。

預金金利の引き下げを発表したのは中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、中国銀行、交通銀行。各行のウェブサイトによると、預金金利の引き下げ幅は5─20bp。    

今後、他の銀行も追随するとみられる。

同国の銀行が一斉に預金金利を引き下げるのは昨年12月以来。昨年は3回の引き下げが行われた。

中国の商業銀行の純金利マージンは今年3月末時点で1.54%と過去最低に落ち込んだ。

人民銀は22日、7日物リバースレポ金利と最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を10ベーシスポイント(bp)引き下げた。

また、25日には予想外に中期貸出ファシリティー(MLF)を通じて資金を供給し、金利も20bp引き下げた。

銀行は国内経済を支援するよう圧力を受けており、預金金利の引き下げは資金調達コストの低下につながる。

上海華宝信託のエコノミスト、ニー・ウェン氏は「預金金利引き下げによって銀行は貸出金利を下げる余地が広がる。利ざやへの強い圧迫を踏まえると、さもなければ貸出金利を下げる動機は生まれない」と述べた。

また、中小行も今後追随する可能性が高いが、顧客獲得競争が激しいため、より小幅な預金金利引き下げになると予想した。

中国工商銀行は要求払い預金の金利を5bp引き下げ0.15%とした。1年物預金金利は10bp引き下げ1.35%に、2年物以上は20bp引き下げ1.45─1.8%とした。

ナティクシスのアジア太平洋シニアエコノミスト、ゲイリー・エング氏は、中国の経済指標に改善がなければ、年内に貸出指標金利がさらに15bp引き下げられると予想している。

同氏は「中国の銀行は以前とかなり異なるジレンマに直面している」とし、「貸出金利の変更は預金金利と銀行の資金調達コストの低下を伴わなければならない」と述べた。

人民銀行系の金融時報は25日、預金金利の引き下げは企業投資や家計消費を促進すると指摘。「資産配分の最適化を促し、資本市場への資金流入を加速させ、株式市場の安定と押し上げに寄与し、経済の回復と改善の流れを強固にする」とした。

ただ、アナリストは消費者の所得見通しの弱さやデフレ圧力を踏まえると、今回の預金金利引き下げは貯蓄を消費や投資に振り向けるには不十分な可能性があるとみている。

ナティクシスのエング氏は「需要喚起にはより大幅な金利引き下げか、信頼感の大幅な改善が必要だろう」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏の移民取り締まり、共和党支持者の意見分か

ビジネス

銀行課税で融資・金融の安定性損なうべきではない=E

ワールド

ロシア、NATOの「グリーンランド脅威論」は作り話

ワールド

訪中したカナダ首相、両国関係の改善と習主席の指導力
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 10
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中