ニュース速報
ビジネス

世界的システム障害、ソフト更新が原因 欠航など多分野で影響甚大

2024年07月19日(金)21時46分

 7月19日午前、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空など米大手航空会社の航空便が、通信上の問題のため、出発できない状態となっている。写真はデルタ航空の機体。4月、ジョージア州にあるハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港で撮影(2024年 ロイター/Elizabeth Frantz)

[19日 ロイター] - ソフトウェアの更新をきっかけに世界的なシステム障害が19日発生し、交通網の混乱、テレビ放映の停止のほか、金融機関や医療サービスなど多くの分野で業務に支障がでた。

問題は特定され各サービスは徐々に復旧に向かっている。

問題となったのは世界的サイバーセキュリティ企業クラウドストライクのセキュリティーソフトで、マイクロソフト(MS)のウィンドウズでの更新で不具合が生じた。

クラウドストライクのジョージ・カーツ最高経営責任者(CEO)は、ウィンドウズ向けのコンテンツ更新プログラムで欠陥が見つかったとし、修正プログラムを展開していることを明らかにした。その上で「セキュリティーの問題やサイバー攻撃ではない」と述べた。

マイクロソフトも問題は修復されたとしている。

アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空など米大手航空会社は19日未明、通信障害で出発できない状態となった。ユナイテッド航空は声明で、「サードパーティーのソフトウェア障害により、ユナイテッドを含め世界中のコンピューターシステムに影響が出ている。システム復旧待ちで全機を地上待機とし、離陸便は目的地に向かって運航している」と明らかにした。

これに先立ち、一部の格安航空会社はマイクロソフトのクラウドサービス障害を受けて運航ができない状態となっていた。MSはこの障害は解消したとしていたが、その後クラウド部門がウィンドウズOSシステムなどでの問題発生を確認した。

オーストラリアでは、メディアや銀行、通信会社で障害が発生した。

障害の影響は運輸業界が大きく、東京、アムステルダム、ベルリン、スペインなどの空港でシステム障害により欠航や遅延が発生、予約システムなどにも影響がでた。

英国では医院の予約システムがオフラインになった。主要ニュース局のスカイニュースは一時放映できなくなった。

オーストラリア、インド、ドイツ、南アフリカなどでは銀行や金融機関が顧客サービスを中断。LSEGグループではデータ・ニュース・プラットフォームWorkspaceに障害がでた。

専門家によると、今回の障害は過去最大規模の可能性がある。

豪州最大級のサイバーセキュリティ・サービス会社スティックマンサイバーののアジャイ・ウニCEOは、「ITセキュリティーツールはデータ漏洩という最悪の事態が発生しても企業が業務を継続できるように設計されている」とし、世界的な障害の根本原因となったことは最悪の事態だと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、日本の核兵器への野心「徹底抑止」すべき=K

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ

ワールド

アングル:トランプ政権で職を去った元米政府職員、「

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中