ニュース速報

ビジネス

米当局、バイナンスCEOら提訴 「違法な」交換所を運営

2023年03月28日(火)09時47分

米商品先物取引委員会(CFTC)が27日、暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンスと同社のチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)ら経営陣を法令違反で提訴した。2022年11月撮影(2023年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

[27日 ロイター] - 米商品先物取引委員会(CFTC)は27日、暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンスと同社のチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)ら経営陣を提訴したと発表した。「違法な」交換所を運営し、コンプライアンス対策に実体がなかったとした。

CFTCの訴状によると、バイナンスは少なくとも2019年7月から現在まで、米の法律に違反して米国の利用者に「商品デリバティブ取引を提供し実行」していた。この取引を提供するにはCFTCに登録する必要があるが、CFTCの規制下にあるのは2019年に立ち上げた米交換所運営バイナンス・ドット・USで、バイナンスの交換所は未登録だった。

CFTCはまた、バイナンスがジャオ氏の指示の下、従業員や利用者にコンプライアンス対策の回避を促していたと指摘。顧客の身元確認を怠り、テロ資金供与やマネーロンダリング(資金洗浄)対策の基本的な手続きも実施しないなどの事例を挙げた。

ロイターは昨年12月、米司法省がバイナンスに対し、マネロンや米国の対外制裁抵触の疑いで調査を行っていると報じていた。

CFTCはまた、バイナンスの元最高コンプライアンス責任者(CCO)、サミュエル・リム氏についても、違反を「ほう助した」として責任を追及している。

資産家のジャオCEOは中国生まれで12歳でカナダに移住。CFTCの提訴は「想定外で遺憾」で、指摘された問題の多くについて、内容に納得できないとコメントした。

バイナンスの広報担当は規制当局に今後も協力するとコメント。同社交換所で米顧客の使用を制限するため、多額の投資を行ってきたとした。

CFTCのベナム委員長は、バイナンスの幹部らは何年もの間、ルール違反を把握していたと批判した。

バイナンスが発行する「バイナンスコイン(BNB)」は約4%安となった。

CFTCによると、バイナンスは持ち株会社をケイマン諸島に登記し、交換所「バイナンス・ドット・コム」の所在は公開していない。訴訟は持ち株会社と傘下2社を相手取って起こした。

バイナンスはバイナンス・ドット・USを別の米企業と立ち上げた後も、米国の顧客をつなぎとめようとし、収益への貢献度が高い「VIP顧客」に自社のコンプライアンス対策をどのように回避できるか教唆したという。

CFTCは罰金や不正利益返還の命令、恒久的な取引・登録禁止を裁判所に求めた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアで対独戦勝記念式典、プーチン氏は連合国の貢献

ビジネス

三井住友銀行、印イエス銀の株式取得へ協議=関係筋

ビジネス

米関税、インフレと景気減速招く=バーFRB理事

ワールド

焦点:印パ空中戦、西側製か中国製か 武器の性能差に
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中