ニュース速報

ビジネス

銀行システム安定重視、預金者保護に一段の措置も=米財務長官

2023年03月22日(水)06時04分

 イエレン米財務長官は、米国の銀行システムは、規制当局の強力な措置により安定しつつあるものの、中小金融機関が「取り付け」と呼ばれる預金の大量流出に見舞われた場合は、預金者保護に向けた一段の措置が正当化されるとの認識を示した。米上院議会の公聴会で16日撮影(2023年 ロイター/Mary F. Calvert)

[ワシントン 21日 ロイター] - イエレン米財務長官は、米国の銀行システムは、規制当局の強力な措置により安定しつつあるものの、中小金融機関が「取り付け」と呼ばれる預金の大量流出に見舞われた場合は、預金者保護に向けた一段の措置が正当化されるとの認識を示した。

21日に全米銀行協会の会合で行う講演原稿(抜粋)で明らかになった。

イエレン氏は、破綻した2銀行の保証対象外の預金の保護、連邦準備制度の下での新たな流動性供給など、最近政府が取った措置は「預金者が預け入れたお金や銀行システムの安全確保に必要な措置を講じるという断固たるコミットメントを示している」と説明。「決定的かつ力強い」行動が米国の金融システムに対する国民の信頼を高め、米経済を保護しているとした。

また「われわれの措置は、特定の銀行、銀行のクラスの支援に注力したものでない。われわれの介入は、より広範な米国の銀行システムを保護するために必要だった」とした上で 「中小金融機関で預金の流出が発生し、他に波及する恐れがある場合、同様の措置が正当化される可能性がある」と述べた。ただ、どのような追加措置が正当化されるのかについては詳細に語らなかった。

米連邦預金保険公社(FDIC)、FRB、財務省の措置により、さらなる銀行破綻のリスクが低減したと表明。新設された「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」、および連銀窓口貸出(ディスカウント・ウインドウ)は銀行システムに流動性を供給するために意図した通りに機能しており、銀行からの預金流出は安定したと述べた。

米大手銀11行が先週、株価急落に見舞われた中堅銀行ファースト・リパブリック・バンクの資金繰りを支えるために合計300億ドルの預金を預け入れることは「銀行システムに対する信任投票だった」との認識を表明。米経済を支えるために「ダイナミックで多様な銀行システム」の維持が重要で大手銀行、中堅銀行、小規模銀行の全てが家計や中小企業を支え、金融サービスにおける競争を高める役割を担っているとし、銀行を巡る状況について銀行関係者のほか、州・連邦規制当局や国際的なカウンターパートと緊密に連絡を取り合っていると語った。

このほか、サブプライムローン問題で多くの銀行がストレスにさらされた2008─09年の世界金融危機と現在の状況は「全く異なる」と指摘。「現在の金融システムは15年前と比べて格段に強固になっている」と述べた。

経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー・バンクについては「現在の規制・監督体制を見直し、銀行が直面しているリスクに対し適切かどうか検討する必要がある」とし、規制当局が両行の破綻について検証すると表明。今回のような金融危機に対処するために調整が必要か判断するために銀行規制を評価すると述べた。

具体的にどのような調整が行われるかは明らかにしなかったものの、小規模な銀行が破綻したシリコンバレー銀やシグネチャーバンクのような困難に見舞われた場合に一段の介入を実施する措置が含まれる可能性があると語った。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

吉野家HD、08年導入の買収防衛策廃止へ 

ビジネス

セブン&アイ、米コンビニ事業の上場は最短で27年度

ビジネス

日経平均は5日ぶり反落、中東情勢の不透明感を改めて

ビジネス

ファーストリテ、通期予想を上方修正 純利益10.9
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 5
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 6
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 9
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中