ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、6月は2年ぶり低水準 新規受注低調

2022年07月02日(土)04時22分

米供給管理協会(ISM)が1日に発表した6月の製造業景気指数は53.0と、前月の56.1から低下し、2020年6月以来の低水準を付けた。市場予想の54.9も下回った。(2022年 ロイター/Jonathan Ernst/File Photo)

[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日に発表した6月の製造業景気指数は53.0と、前月の56.1から低下し、2020年6月以来の低水準を付けた。市場予想の54.9も下回った。

新規受注指数が約2年ぶりに拡大と縮小の節目である50を下回ったほか、雇用指数が2カ月連続で低下。連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めで景気が冷え込みつつあることが改めて確認された。

消費の対象がモノからサービスに回帰していることが減速の一部要因になっているとみられるが、このところの経済指標で金利上昇による需要減退が示されている。ウェルズ・ファーゴ(ニューヨーク)のエコノミスト、シャノン・シーリー氏は「投資支出が弱まり始めており、経済の急速な減速が改めて示された」との見方を示した。

ネイションワオイドのシニアエコノミスト、ベン・アイヤーズ氏は「景気後退が近づいていることを示唆するものではない」としながらも、「FRBの金融引き締めに加え、消費者と企業に対するコスト圧力が拡大していることで、経済成長を巡る状況は悪化し続けている」と指摘。一方、FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のシニアエコノミスト、ウィル・コンパーノル氏は「今回の数値は割り引いて考える必要がある」とした。

先行指標となる新規受注指数は49.2と、55.1から低下。20年5月以来初めて50を下回った。輸送機器、電気機器・部品メーカーなど一部業種で需要は堅調に推移したが、大部分の業種で受注が伸び悩んだ。

供給業者の納入を示す指数は57.3と、65.7から低下。JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「供給網を巡る問題の緩和に関連して納入指数が低下した可能性があるが、需要の減退も一因として挙げられる」としている。

価格指数は78.2と、82.2から低下。インフレがピークを付けた可能性があることが示唆された。

雇用指数は47.3と、49.6から低下。労働力需要の減退と人手不足が重なり、20年11月以来の低水準を付けた。

FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「企業は人員削減を進めているとしているが、レイオフ件数は週間新規失業保険申請件数に反映されていない」と指摘。「雇用指数は6月も拡大と縮小の節目である50を下回ったが、5月の製造業部門雇用者数は1万8000人増加している」とした。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中