ニュース速報

ビジネス

中銀の一般向けデジタル通貨発行には「根本的な問題」=英中銀総裁

2017年12月21日(木)06時26分

12月20日、英中銀のカーニー総裁は、激しい値動きを見せている仮想通貨ビットコインについて、現時点では世界的な金融安定に対する脅威にはなっていないとの考えを示した。写真は2015年5月、パリで(2017年 ロイター/Benoit Tessier)

[ロンドン 20日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は20日、誰にでも利用できるデジタル通貨を中央銀行が発行することには「根本的な問題」が存在するとの考えを示した。

ビットコインを含む仮想通貨が台頭する中、一部エコノミストの間では将来的には中央銀行がデジタル通貨を発行し、経済の中で広く利用されるようになるとの見方も出ている。

カーニー総裁は議会で、仮想通貨の基本技術であるブロックチェーン技術は金融機関の間で行なわれる取引の方法の改善に役立つ可能性があると指摘。ただ、一般人が利用することを想定とした仮想通貨を通してこうしたアプローチが経済全体に行き渡れば、金融安定に対するリスクとなる恐れがあるとの考えを示した。

ただ同総裁は、激しい値動きを見せている仮想通貨ビットコインについて、現時点では世界的な金融安定に対する脅威にはなっていないとの考えを表明。

ビットコインは中核的な金融システムに密接につながっていないとし、ビットコインやその他の仮想通貨の価値を合わせても米アップルの時価総額の約半分程度にとどまっていると指摘。「現時点ではわれわれは、金融安定に対する問題にはなっていないとみている」と述べた。

そのうえで「有意な規模ではあるが、株式のように世界中に幅広く広まる性質を持つリスクであるとみている」と述べた。

また、ビットコインの規制が英中銀の責務の範疇に入るとは予想していないとしながらも、世界各国の規制当局は仮想通貨、および仮想通貨を巡る中央銀行の役割について協議するとの見方を示した。

ビットコインは20日、ビットスタンプ取引所で10%を超えて下落し、1万5800ドルと1週間ぶりの安値を付けた。3日前に付けた過去最高値の1万9666ドルから約20%下落したことになる。

*内容を追加しました

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ノーベル平和賞マチャド氏、授賞式間に合わず 「自由

ワールド

ベネズエラ沖の麻薬船攻撃、米国民の約半数が反対=世

ワールド

韓国大統領、宗教団体と政治家の関係巡り調査指示

ビジネス

エアバス、受注数で6年ぶりボーイング下回る可能性=
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 3
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 4
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡…
  • 5
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中