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米消費者物価が7カ月ぶり大幅プラス、政策引き締め材料か

2017年09月15日(金)04時12分

 9月14日、8月の米消費者物価指数が0.4%上昇し、7カ月ぶりの大幅な伸びを示した。写真はニューヨークのガソリンスタンドで昨年2月撮影(2017年 ロイター/Brendan McDermid/File Photo)

[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、ガソリン価格などの値上がりに伴い、総合指数が前月比0.4%上昇と、市場予想の0.3%を上回り、7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。

物価上昇圧力が増している兆しがみられ、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を一段と引き締める材料となる可能性がある。

7月の伸びは0.1%にとどまっていた。8月は前年同月比で1.9%上昇。市場予想は1.8%だった。7月は1.7%の伸びだった。

今回の統計は、過去にみられた物価圧力の低下が一時的との一部FRB当局者の見解を裏付けるとみられる。

JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「統計を受け低インフレを巡るFRB当局の懸念はある程度和らぐはず」とした上で「FRB指導部は12月会合で追加利上げを果たすと引き続き予想される」と述べた。

8月の前月比の内訳は、ガソリンが6.3%上昇し、1月以来の大幅な値上がりとなった。7月は横ばいだった。ハリケーン「ハービー」によりテキサス州の石油精製施設が一時的に閉鎖していることから9月はさらに値上がりすると予想される。労働省の当局者らは8月のガソリン価格の上昇が、同月下旬にテキサス州に多大な被害を及ぼしたハービーによるものかは判断しにくいと述べた。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0.2%上昇した。7月までは4カ月連続で0.1%上昇となっていた。8月の前年同月比は1.7%上昇。4カ月連続で同等の伸び率が続いている。

食品は前月比0.1%上昇した。7月は0.2%上昇していた。賃貸家賃は0.4%上昇。帰属家賃は2カ月連続で0.3%上昇した。診察費や衣料、家庭用品も値上がりした。一方、携帯電話サービスと中古車は値下がりが続いた。

FRB当局者らは、ガソリン価格によるCPIの上昇は一時的なものと捉える可能性が高い。一方、前月比ベースでCPIが大方広範にわたり値上がりしていることを材料視する可能性もある。

FRBが物価の目安として注目する個人消費支出(PCE)物価のコア指数は、目標とする2%を2012年半ば以降、常に下回っている。7月のコアPCEは1.4%上昇と、15年12月以来の小幅な伸びだった。

エコノミストらは、FRBが9月19-20日の会合で4兆2000億ドル規模の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の保有資産を縮小し始める旨を発表するとみている。労働市場がほぼ最大雇用状態であるにもかかわらず物価上昇圧力が弱いことで、今年3度目となる利上げは12月まで待つとの見方が大勢だ。

*内容を追加して再送します。

ロイター
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