ニュース速報

ビジネス

焦点:中国建設見本市で膨らむ2017年復活の夢、一帯一路構想で

2016年11月29日(火)08時23分

 11月25日、中国政府の「一帯一路」大規模経済圏構想などを追い風に、同国のインフラや天然資源、建設といった部門の業況に連動する重機セクターはようやく回復に転じつつある。写真は22日上海で開催された中国の建設機械見本市にて(2016年 ロイター/Aly Song)

[上海 25日 ロイター] - 中国でインフラや天然資源、建設といった部門の業況に連動する重機セクターは、コモディティ価格の急落を受けて売上高がずっと落ち込んできた。コンサルティング会社オフ・ハイウェイ・リサーチによると、ピーク時に年間350億ドルに上った売上高は、今年90億ドルと10年余りぶりの低水準にとどまる見込みだ。

しかし中国政府が「一帯一路」と呼ばれる大規模経済圏構想を打ち出していることや、国内のインフラ整備促進の動きが追い風となり、重機セクターはようやく回復に転じつつある。

このほど上海で開催された最新の見本市に集まった多くのメーカー幹部の話でそうした状況が明らかになった。

これらの幹部は、来年の売上高が2011年以降で初めて増加すると予想する。オフ・ハイウェイによると、中国における掘削機械の需要は9月に50%増加し、一帯一路構想の恩恵を最も受ける土木機械や道路造成機械の売上高もプラスに転じた。

建設機械最大手の一角を占める広西柳工機械<000528.SZ>のバイスプレジデント、デービッド・ビーテンボー氏は「われわれは業況が底打ちして上向きつつあるという相当はっきりした兆しを目にしている」と話す。

習近平国家主席が提唱する一帯一路構想は、中央アジアから西アジア、中東、欧州までをつなぐ新たな経済圏を創設するもので、その土台となるのは道路や鉄道といった新たなインフラの建設と貿易の拡大だ。中国政府の見積もりでは、今後10年で同国の貿易額は2兆5000億ドル増える可能性がある。

また中国国内の経済も、民間投資と輸出が低調にとどまりながらも、多額の政府支出や主要都市の不動産市場の活況などで安定してきている。政府は景気下支えのためにインフラ整備プロジェクトの承認を加速しており、国家発展改革委員会は今月、1─10月に承認したプロジェクトの総額が2兆9700万元(4293億ドル)と、前年同期を2.9%上回ったことを明らかにした。

掘削機などを製造する福建普工機械の幹部Chen Dewei氏は、こうした環境のおかげで同社は在庫を「妥当な」水準まで圧縮することができたし、来年1月には江蘇省に新工場を建設する方針だと述べた。この工場建設は当初2011年に計画されたが、業況不振が続く中でずっと棚上げされていたという。

同氏は「当社の見立てでは、重機セクターは徐々に熱を帯びてきている」と語った。

それでもまだ多くの関係者は、重機セクターが力強く回復していくと予想するのをためらっている。山東臨工機械のある幹部は、中国企業がずっと賢明になっている点を挙げて、かつてのような回復にはならないと慎重な見方を示した。

(Brenda Goh記者)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド総合PMI、12月は58.9に低下 10カ月

ビジネス

プライベートクレジット、来年デフォルト増加の恐れ=

ワールド

豪銃撃、容疑者は「イスラム国」から影響 事件前にフ

ワールド

スーダン、人道危機リストで3年連続ワースト1位 内
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中