鳩山元首相「香港人権法」を批判 習近平と会見も

2019年12月4日(水)20時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

1日、広州の従都国際フォーラムに出席した鳩山氏は米国の香港人権民主法は越権だと批判し、3日、参加者とともに習主席と会見。中国メディアは宣伝用に使った。習主席を国賓として招待すれば、こうして利用される。

鳩山由紀夫元首相、「香港人権民主法」は越権だとフォーラムで

12月1日、中国の広東省広州市の従都で、「多国間主義と持続可能な発展」をテーマにした「2019従都国際フォーラム」が開催された。従都というのは広州市従北区にあるリゾート地だ。そこには、外国の元政治家や、国際組織の関係者なども招聘されて、スピーチを行ったのだが、日本からは鳩山由紀夫元首相が出席している。

そのフォーラムで鳩山氏は「アメリカによる覇権時代は必ず終わらせなければならない」とか「アメリカの香港人権民主法は中国に対する越権である」などと主張したために、中国共産党系メディアや、中国政府系メディアが、ここぞとばかりに一斉に報道した。

中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球網」は12月2日、「アメリカという一つの国家による覇権時代は必ず終わらせなければならない!」という見出しで、鳩山氏の発言内容を報道している。

記事は「中国香港の自由を求める学生たちの背後には明らかにアメリカの影がある」と銘打った上で、日本の鳩山元首相が「アメリカの中国に対する様々な不当な挑戦に対して直接厳しい批判をした」として、鳩山氏の発言を以下のように紹介している。

●経済面において快速な成長を続けている中国に対して、アメリカのやり方は、以前の日本に対するやり方と同じで、対中貿易戦争を発動している。

●そればかりでなく、米議会は最近、トランプの署名により「2019香港人権民主法案」を成立させているが、これは明らかに中国に対する内政干渉だ。

●アメリカという一つの国家による覇権時代は必ず終わらせなければならない!

環球網は、さらに鳩山氏がこの国際フォーラム期間中に、何度も「中国が世界多国間主義を貫くことによって世界にいかに貢献しているか」と中国を高く評価したと報道している。

たとえば12月2日のフォーラムの「グローバル新秩序の構築」をテーマとする分科会において、鳩山氏は「中国は軍事的にアメリカに対抗できる唯一の大国だが、しかし中国の指導者は決して軍事的対抗をしようとは思っていない。それどころか、多国間主義を貫いて、世界平和を達成しようと希望している」と述べているとのこと。鳩山氏は「中国、韓国、日本および東南アジア諸国による東アジア共同体」の形成がいかに重要であるかを強調したようだ。

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