コラム

Metaが生成AIでMicrosoftと提携した理由

2023年07月21日(金)17時30分

ChatGPTの有料版上でサードパーティ開発のプラグインを多数揃えているOpenAIは、前者の意見を持っていると言えるだろう。プラグインはスマートフォンで言うところのアプリのような存在で、ChatGPTはプラグインにアクセスすることで、いろいろな機能を実装できるようになっている。日本企業では、食べログやヤフーが既にプラグインを提供しているが、こうしたプラグインを多数揃えることでChatGPTは何でもできる一人の有能な秘書のようなエージェントになろうとしているわけだ。

ザッカーバーグ氏によると、同氏は後者、つまり1つの機能を持つエージェントが多数存在するようになるという意見。Metaは、インスタグラムの他にも、WhatsAppというSNSを持っているし、このほどTwitterのようなSNSである「Threads」というサービスを開始したばかりだが、ザッカーバーグ氏はこうしたSNS上に今後いろいろなタスクを実行する無数のエージェントが誕生するという。「WhatsApp上で会話できるアシスタントや、インスタグラムのクリエイターの代わりにファンと会話できるエージェント、中小企業にとってのカスタマーサポートのエージェントなど、いろんなエージェントが登場するだろう」と語っている。

同氏はまた「Llamaがこうしたエージェントを動かすエンジンになる」と言う。

つまり今回MetaがMicrosoftやAmazonのクラウド上でLlama2を無償で提供するのは、多くの企業にエージェントを開発してもらうためだと言える。逆に言えば、インスタグラム、WhatsApp、Threads上にエージェントを提供したければ、Llama2を使うしかない。

ザッカーバーグ氏は「Llama2はこうしたエージェントを生むエコシステム、ビジネスのインフラになっていく可能性がある」と語る。スマホ時代にGoogleがAndroidで築いたエコシステムを、AI時代にMetaはLlama2で構築しようと考えているわけだ。

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プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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