- HOME
- コラム
- 構造と文脈でニュースを斬る
- 医療逼迫?政府与党は直ちにコロナ禍の医療緊急事態を…
医療逼迫?政府与党は直ちにコロナ禍の医療緊急事態を改善せよ
こうした状況を変えてほしいと、小池都知事も、大阪の吉村知事も、全国知事会も特措法の早期改正を春から繰り返し訴えてきた。
法的には暫定運用が続くなか、対応医療機関が逼迫し経済の停滞も長期化すると、指定感染症として結核やSARSと同等の「2類」相当という指定をやめて通常のインフルエンザ並の5類に変更してはどうかという声が経済優先論者から出てくる。
「ほとんどの現役世代は治るただの風邪なのに、過剰な感染症規制で経済を破綻させむしろ自殺者を増やしている」という論だ。極端な意見で5類に指定を移せば、どの病院でもただの風邪として診ることができると経済優先派が主張する。
ただ万一、5類に分類すると入院医療費の自己負担やホテル療養も有料となり、受診しない人が増え、早期治療が行われなくなり、自宅での急変、重症化が多発する。またコロナを特別扱いする法的根拠が失われPCR検査も自己負担、世界の徹底した検査と隔離で収束させようとする流れに逆行する。
感染症法で2類に指定されているわけではなく、2類「相当」なので現場判断で様々な対応が法的には可能なので現場としては「2類相当」での運用を継続するしかないが、明確な基準がないので混乱も起きる。
保健所の負担の軽減は各都道府県や保健所責任者の判断で行うことになる。学校や保育園での陽性者が発生した時、1クラスだけを濃厚接触者と定義したとか、先生のみを濃厚接触者と定義したとか、現場の保健所のまちまちの判断を聞いたことがあると思う。
これだけ陽性率が増えた中では保健所によるクラスター追跡は限界だ。これまで分かってきたことを踏まえて、いよいよ新型コロナウイルスそのものに対する医療防疫対策のきちんとした法整備をすべきではないか。
暗黒フェーズに入るアメリカ、変異種の発生、続く闘い
経済優先で感染拡大に失敗したアメリカでは、毎日23万人以上が感染し、3400人以上が亡くなっている。ワシントン大学保健指標評価研究所では来年1月1日には61万人、抑制策を講じず、ワクチン配布が拡大されなければ1月10日には1日当たり100万人の新規感染者が発生するとしている。
日本に似た「大人の国民の自主性」に任せて隔離を行わなかったスウェーデンは11月の1カ月で一気に人口当たりの死者数がアメリカ並みに増加。あれだけ徹底した抑止策を取り封じ込めたかに見えた中国でさえ、先日から北京の一部でロックダウンと外出自粛を呼びかけている。
この筆者のコラム
森喜朗女性蔑視発言は、なぜ沈静化しないのか──ジェンダー対立に留まらない5つの論点 2021.02.10
森喜朗会長はなぜ東京オリンピックに君臨するのか 2021.02.06
医療逼迫?政府与党は直ちにコロナ禍の医療緊急事態を改善せよ 2020.12.30
【学術会議問題】海外の名門科学アカデミーはなぜ名門といえるのか 2020.12.08
日本学術会議問題を「総合的俯瞰的に」考察して浮かび上がった、菅総理の驕り 2020.12.03