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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

ワクチンパスのスタートと共に規制緩和が始まるフランスといつまでも鎖国を続ける日本

パリ市庁舎近くにできているワクチンセンター       筆者撮影

フランスでのワクチンパスポート(ワクチン未接種者は、レストラン・カフェ、文化・娯楽施設、スポーツ施設、イベント、長距離の公共交通機関にアクセス不可能になりました)がスタートして、そろそろ1週間が経とうとしています。これまでもヘルスパスによる制限があったために、ワクチン接種者(約80%の国民)にとっては、あまり変わりのないことで、ましてやワクチンをしていても感染するケースもあるため、意味がないのではないか?と一部では言われているものの、ワクチン未接種(重症化するリスクが高い人)を感染のリスクの高い場所には、立ち入らせないことで少しでも病院の負担が軽減される効果は、期待できると言われています。

むしろ、現在では、ワクチンパスそのものよりも、このワクチンパスのスタートと共に開始されるその他の規制緩和に注目が集まっています。

とはいえ、依然として、ワクチンパスポート反対の抗議デモは毎週のように続いているのも現実ですが、さすがに、ワクチンパスがないとレストランやカフェで食事をしたり、コーヒーを飲んだりすることもできず、映画館にも美術館にもイベントにも行けず・・ということが現実となると、渋々、初回のワクチン接種に行き始める人もいて、デモ隊の人数は減少しつつあります。

しかし、減少しているのは、アンチワクチンパスのデモ隊の規模だけで、感染者は、先週などは、若干、減少して、1日の感染者数が30万人台にまでに下がって(30万人台にまで下がったといってホッとしかけるところも、もはや異常ですが・・)「ようやくピークは超えたか?」などと言い始めたと思ったら、突然、1日50万人を突破する日もあり、まだまだ油断できない状況が続いています。

それでも、この1日の感染者が50万人を超える日があっても、その50万人という感染者数の上昇ほどには重症患者数が増えることはない(若干ではあるが減少している=現在集中治療室の患者数は3600人台)ことから、今週からは、屋外でのマスク義務化とリモートワークの義務化は撤廃されます。そして、さらにこの2週間後には、ディスコやクラブの再開(現在は閉鎖状態)、カフェやバーでの立ち飲み、スタンディングコンサートが解禁される予定になっています。

ブースター接種にアクセルをかけるフランス

とはいえ、2回のワクチン接種の効果が時間の経過とともに減少することを警戒しているフランスは、3回目のブースター接種にもアクセルをかけており、3回目のブースター接種をしなかった場合には、ワクチンパスポートも2回目のワクチン接種から7ヶ月後には、自動的に失効することになっており、さらに2月15日からは、2回目のワクチン接種から4ヶ月後には、ブースター接種をしないとワクチンパスポートが失効することに変更(ワクチン接種期間の短縮)されることになりました。

今やフランス人が普通の日常生活を送るためには、命綱とも言えるようなワクチンパスポートの失効を恐れて、ブースター接種も順調に進行しています。先日、パリの中心部(パリ市庁舎の近く)に買い物に出かけたら、大きなワクチンセンターができていて、「こんなところに、ワクチンセンターができている!」と驚いたくらいです。私自身は、すでに昨年の12月の段階でブースター接種を済ませていますが、念の為にワクチン接種の予約サイトを覗いてみたら、今すぐにでも、ワクチン接種が可能な場所は、結構あるようで、現在は(少なくともパリ近郊では)ブースター接種をしようと思えば、いつでもできる状態であることがわかりました。

現在もコロナウィルスに感染して入院する人は、後を絶ちませんが、集中治療室にいる患者さんのほとんどは、ワクチン未接種者か、もしくは、ブースター接種が遅れてしまった人々で占められていることから、とにかくワクチン接種、ブースター接種を急ぐというのが、一番に考えられているのは、当然のことだと思います。

そして、フランスは、感染者に関しては7日間の隔離(5日後に検査をして陰性であれば、隔離は5日間で終了)が義務付けられていますが、それ以外は、本当に皆、ちょっとギョッとすることもあるほど、普通の生活を送っています。

日本はいつまで鎖国を続けるのか? 日本は内向きな国と言われている・・

そんなフランスに住んでいても、やはり祖国である日本のことは、いつも気になって、日本のニュースはできるだけ見るようにしていると同時に、フランスでの日本についての報道をチェックするようにしています。パンデミック当初は、フランスでは、日本の感染対策を見本にするべきだというような報道も見かけて、「よしよし、さすが日本だ!」と1人で悦に入ったりもしましたが、このところの日本についての報道は、かなり辛口のものが多いようです。

なんといっても、いつまでも外国人をシャットアウトするという日本政府のやり方は、世界から見れば、全く理解されていません。中でも、1月初旬の段階で、日本が外国人への鎖国措置を2月末までに延長した時には、「グローバル化しながらも内向きな国、日本」「このパンデミックは、この列島がいまだに孤立主義を培い、外国人を統合しようとしないことを明らかにした」、「このニュースは、観光客だけでなく、日本で働くビジネスマン、エンジニア、学生などの外国人をも激怒させた。しかし、現地の人々は拍手喝采で、88%の日本人が、国境を守るため、そして彼らにとって苦痛のない閉鎖を認めている」などと厳しい報道も見かけました。

日本が鎖国延長を発表した数日後、WHO(世界保健機構)は、「世界各地でオミクロンの感染者が増え続ける中、オミクロン変異体の感染拡大の抑制に効果がないとして、海外渡航制限の廃止・緩和」を呼びかけ、「海外旅行禁止は何の価値もなく、締約国の経済的・社会的ストレスを圧迫し続けているため、解除または緩和されるべきである」と警告を発表しています。

そのWHOからの警告に対する回答なのか、先日、海外からの日本人の日本入国の際の隔離期間は、これまでの10日間から7日間に短縮され、緩和されました。しかし、日本は依然として、外国人の新規入国は停止したままです。日本人の日本入国の隔離期間を短縮したタイミングは、外国人に対する入国緩和のタイミングでもあったはずです。外国との関わりなしには立ち行かなくなることに、日本はあまりにも鈍感な気がしてなりません。そして、この事実に対して、日本国内からもあまり声が上がらないことも疑問に感じています。

外国人の入国に関しては、以前と変わりなく、2月末まで延長されたままなので、こちらでは、もはやニュースにもなっていませんが、世界中が規制を緩和し始め、日常生活を取り戻し始めている中、留学生やビジネスマン、観光客を退け、日本だけがいつまでも鎖国を続けるのは、私は、日本にとって、将来的にも結構、大きな問題だと思っています。世界各国、入国に対する規制を敷いてはいますが、(ワクチン接種や陰性証明書の提示、隔離など)外国人であるという入国拒否基準を設けている国など、ほとんど、ありません。グローバルレベルで、この協調性のない対応は本当に残念なことだと感じています。

日本から締め出されている外国人は、留学にしても、ビジネスにしても、観光にしても、どんどん他へ流れています。

しかも、これだけ世界がブースター接種を急いで、感染規制を緩和して経済復興につとめているにもかかわらず、日本のブースター接種の接種率は一向にあがらないままに、再び、蔓延防止措置という真逆の対応。これまで奇跡的とも言われるほどに感染を抑えられてきた日本もウィルスの変異に伴って、感染を制御できなくなっている今、対応も早急に変えていかなければならないことは明白で、しかも、オミクロン株感染の変遷については、多くの国が前例を示している中、どうして参考にしないのかが不思議でなりません。

フランスは、入国者に対して、欧州圏内からは24時間以内、それ以外の国々からは48時間以内のPCR検査または抗原検査の陰性証明書を求めてはいますが、特別な理由などは求めていません。もちろん国籍による制限もありません。イギリスは極端な例ですが、感染がかなり減少してきていることを理由に感染対策をほとんど撤廃する決定をしています。

先行きが見通せず、いつまでこんな状態が続くのか? 今は何が正解かはわからないのが現実ではあります。フランス人は、本当に衛生観念も希薄で、モラルも道徳観念も低く、ダメダメなところもたくさんあり、うんざりすることも多いのですが、現在は、できるだけの努力(今は、ブースター接種を含めたワクチン接種やワクチンパスの施行など)をして、できる限り、国全体を動かしていく、困難な状況から逃げずに立ち向かおうとしている姿勢、そして、特に将来を担う子供に対する配慮が感じられる政策を次々と提案し、貫こうとしている姿勢、そして何より政治家のフットワークの軽さは、なかなか悪くないと思っています。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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