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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

世界垂涎のピエモンテ産白トリュフの季節。日本人唯一のトリュフハンター・富松さんの苦悩

一方で、白トリュフが出回る前の夏から秋の初めにかけて、サマートリュフや秋トリュフが出回る。前述の富松さんによれば、イタリア国内でも、州によって規則は若干変わり、収穫していい時期も違うというが、基本的にはサマートリュフは5月、6月頃から始まるという。外側が黒くゴツゴツしているが、中は薄茶色や白、グレーなど寄生する木によって変わるという。そして秋トリュフが10月から。サマートリュフと秋トリュフは従兄弟のような存在で、一緒に売られ、11月に終了するそうだ。値段は白トリュフの5分の1程度。それと前後するように、白トリュフのシーズンが始まる。ちなみに同じく晩秋から冬がシーズンの黒トリュフは、白トリュフの3分の1程度の値段が相場と言われ、イタリアならピエモンテではなく中部のマルケ州あたりが名産だという。

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肉の詰め物入りパスタに、サマートリュフもよく合う(富松さん提供)

どこでもいつでも誰でも、なんでも??

地元の人間、そして世界各地から金に糸目をつけずに駆けつけることのできる一握りの人々の贅沢だった白トリュフが、輸送技術が発達し、情報がグローバルに広がったことで、世界中どこででも食べられるようになった。オーソドックスな食べ方だけでなく、白トリュフ風味の塩、白トリュフオイル、白トリュフハチミツ、果てはトリュフ風味のポテトチップスや、ファミレスのメニューにまで登場し、大枚を払わなくても日本に居ながらにしてトリュフ気分を味わえるようになった。

そんな状況に、富松さんは少し苦々しい思いを抱いている。白トリュフを日本に輸出販売する富松さんだから、人気は大歓迎。だが、季節外れのものや、ピエモンテ産以外、イタリア産以外のモノをピエモンテ産と言って売る業者が横行するのも大きな問題だという。

「ピエモンテでは、白トリュフは9月21日から1月31日の期間に限って収穫していいことになっています。しかも誰もがとっていいわけではなく、州公認のライセンスを持っているトリュフハンターのみに許可されています。どこにトリュフがあるか、どうやって見つけるかを知るだけでなく、トリュフを掘った後の森を元の状態に保全できる知識と能力が問われる。無知な人間が森に入って乱獲すれば、森の生環境は壊れ、トリュフはいつかなくなってしまうからです。さらに販売するときのルールも厳しく決められています」

65946df20979c61e1b8edd17c089d1ca0b18bcf8-thumb-750x554-517692.jpg富松さんのライセンス(著者撮影)

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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