6月27日コロンビアのトリマ県で闘牛場が倒壊し4人が死亡、300人が負傷するという大事故になりました。死者の中には生後14ヶ月の幼児も含まれているとのことです。

事故が起こったのは首都ボゴタから南西に146km離れたエルエスピナルという自治体。毎年この自治体では６月にサンペドロ祭りの催しの一つとして闘牛が行われていますが、パンデミックの影響で過去２年は開催を自粛していました。しかし、今年は久しぶりの開催という事で大勢の人がこの祭りに訪れていたようです。

| URGENTE | TRAGEDIA EN TOLIMA: Al menos 4 muertos y cientos de heridos luego de desplomarse una parte de la plaza de todos de El Espinal en Tolima, Colombia. pic.twitter.com/GX45V9Wpu5

-- Alerta Mundial (@AIertaMundiaI) June 26, 2022

倒壊したのは闘牛場を囲むように建設された３階建ての観客席。上の動画を見ると分かるように、観客席の一部が内側に向かってバタンと倒れています。

先日の大統領選で当選したグスタボ・ペトロ氏は「エルエスピナルの倒壊事故に遭われた方が早く回復されることを願っています。こういった事件はシンセレホでも過去に起きているはずです。人間や動物の死を伴うようなイベントを今後行わないよう各自治体の市長たちに要請します。」とコメントし、被害者の回復を願うとともに闘牛に対して反対の意思を示しました。この事故は「エルエスピナルの悲劇」として国内で大きなニュースになっています。

事故の原因

この悲劇の詳細は現在調査中ですが、事故が起こってしまった原因はずさんな建築工事と重量オーバーだったと考えられています。

この臨時で作られた観客席は主に木と竹でできており、組み立てられた材木同士は紐で結んだだけの粗末な作りだったことが分かっています。同業他社で11年の経験がある会社アソトロスのギジェルモ・プレシアド代表はこのずさんな建築を見て「これは３階建ての建物に使用する技術ではない」とコメント。またこのイベントの関係者は現地テレビ局のインタビューに「材料が届くのが遅れてギリギリになって作り始めていた。業者の経験も足りなかったのだろう」と答えています。またこの建物を使用する前に申請や調査なども行われていなかったようです。

闘牛を取り締まれ！

今回の事故をきっかけにコロンビアでは闘牛の違法化を求める声が多く上がっています。

観客席倒壊の動画とともに、混乱の中で牛たちが人間によって暴力を振るわれ殺害されている動画が拡散され、多くの人が「動物虐待だ！」と闘牛反対を唱えているのです。

Al final de todos estos espectáculos horrorosos, los toros siempre mueren de una manera muy cruel. En esta caso varias personas apuñalandolo hasta morir.
Una muestra más de porque este tipo de eventos deben ser cancelados en toda Colombia. pic.twitter.com/sViRDN0xtH

-- Fernando Rodriguez (@FherRodriguezc1) June 26, 2022

闘牛で被害を受けるのは牛だけに限りません。今年の初旬首都ボゴタから500kmほど離れたカウカシアで闘牛が行われ、牛をコントロールするために使用された馬３頭と闘牛１頭が殺され、更に参加した22人が牛の角によって怪我を負うという出来事も起こっているのです。

闘牛反対の意見は昔から多く上がっており何度も闘牛の規制が法案として上がっていたのですが、実際に今まで法令化されたことはありません。しかし今回の事故を受け、来月7月20日に行われる国会審議で再度法案が提出されることが決まりました。今回法案を提出する予定のアンドレア・パディージャ上院議員は自らのSNSに動画を投稿し「闘牛だけでなく、闘鶏など動物が拷問を受けたり殺害されたりするイベントは全て禁止されるべきです。7月20日に法案を提出しますが、他の政党からもサポートをいただけると幸いです。」と述べています。

今回の事故が与えた影響は大きくこれまでに比べると闘牛禁止の法案が通る可能性はかなり高くなるのではないかとも思いますが、娯楽が少ない田舎の住民たちにとって闘牛や闘鶏は数少ない楽しみの一つである事もまた事実。守るべきは動物の命か伝統文化か、国民の意見はまだ２つに分かれています。