コロンビア議会は6月1日、シングルユースプラスチック(使い捨てプラスチック)の禁止法案を可決しました。この法案は2021年9月に下院の賛成117で可決されていましたが、このあと上院の審議が通り委員会で認められれば法律として制定され、施行が開始されるのは2025年となります。

コロンビアでは以前からプラスチックゴミによるカリブ海の汚染が深刻な問題となっていました。これまで人々が捨てたゴミが川を通って海に流れ出し、美しいカリブ海を汚染してきていたのです。コロンビア人は平均して一人当たり毎年24キロのプラスチックゴミを排出し、そのうちの93％が使い捨てのプラスチックだというデータもあるほど。プラスチックゴミを減らす重要性は国民も十分感じているようで、この法律の制定についてもポジティブな意見を持つ人が多いように思います。

Inundadas de basuras las playas de Puerto Colombia; arrastradas por el río Magdalena toneladas de plástico, muebles, enseres y maderas (en su mayoría provenientes de labores de tala). Autoridad ambiental debe documentar y hacer conocer lo que hacemos con recursos hídricos. pic.twitter.com/sVbhwtUSUA

-- Ricardo de J. Castiblanco Bedoya (@rijecas) May 31, 2019

禁止されるプラスチック

禁止の対象となるプラスチックはレジ袋やストローなどの14品目にのぼりますが、一度に全てを禁止するわけではなく２年後と８年後の２段回に分けて徐々にプラスチック製品の取締りを行なっていきます。

まず2年後にはレジ袋、プラスチック袋ロール、雑誌の包装袋、プラスチック製ストロー、持ち手がプラスチックの綿棒などが禁止になり、さらに8年後には食品の持ち帰りに使われるようなプラスチック製の容器や食品用ラップフィルム、誕生日パーティで使われる風船やプラスチック紙吹雪、デンタルフロスの容器、フルーツに貼付されるステッカーなども禁止対象となります。一度に全てを廃止せず、少しずつ品目を増やすことで企業や国民の負担を減らそうという考えのようです。

代替品への切り替え

今回の法制定をきっかけに多くの企業が今まで使っていたプラスチックの代替品への切り替えが求められることになります。コロナウイルスがきっかけで衛生面の観点からここ数年で様々なものが使い捨てに切り替わり、デリバリーサービスの普及で使い捨ての容器の需要が大幅に増えましたが、ここにきてそれらを全て削減することが求められるようになるのです。これまで当たり前に使用されてきたプラスチックをゼロにしなければいけないということで、プラスチックを製造してきた企業や飲食系などのサービスを提供する企業、それらを受け取る消費者など、この法制定はコロンビア全ての国民に影響を与えるものとなるでしょう。

そこで代替品として注目されているのがコロンビアでよく採れる竹やとうもろこしを使った素材です。自然に溢れているコロンビアではグアドゥアと呼ばれる日本の竹より一回り大きい竹がたくさん生えており、その竹を加工してストローや食器として使用する方法が有力な代替案の一つとして上がっているのです。また土に還るトウモロコシなどの植物性由来の繊維を使用して作られた袋も今後レジ袋の代わりとして使用されることが予想されます。

近年ようやくコロンビアでも分別という言葉が聞かれるようになりましたが、実際は一般家庭のほとんどが全てのゴミを分別せず一つの袋にまとめてゴミとして捨てており、コロンビアのリサイクル率はわずか7％と言われています。更に現地報道によるとコロンビアは世界で一番カリブ海を汚している国と言われるほどで、コロンビアは世界的に見てもゴミの意識が低い国と言えるかもしれません。そんな状態からいきなりプラスチック排除に大きく動き出したコロンビア。世界的に脱プラスチックの動きが進む中でコロンビア国民がどう適応していくのか、我々日本人からみても今後に向けて何か参考になることがあるかもしれません。