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ラッシャー貴子|イギリス

暗い冬はSADなランプでハッピーに

 検索を始めてみると、SADランプには驚くほどたくさん種類があった。形、機能や価格もさまざまで簡単に選べないのは、普通の電化製品と同じだ。ただ、本格的な治療をするには医薬品•医療製品規制庁に登録されたメーカーや、「医療器具」に指定された製品を選ぶ必要がある。

 少し時間をかけて探していると、目覚まし機能付きというものを見つけた。アラームが鳴る前に淡い光のライトがついて徐々に明るくなっていき、1万ルクスになったところでアラームの音とともに目覚めるのだ。SADの治療では光は朝に浴びるのが一番効果的ということだし、朝にすっきり起きたいわたしにこれはぴったりなのでは? と思えた。目覚まし付きには医療器具でないものが多いものの、明るくなった部屋で目覚めることを想像しただけで心が躍り、うきうきした。医療器具でないことはあまり問題じゃないし、よし、これにしよう。

2 めざまし.jpg

わたしが愛用している目覚まし機能付きSADランプ。光が点灯してからアラームが鳴るまでの時間も、15分から45分の間で自分で設定することができる。部屋の電気より明るくて力強い感じるので、最近は起きてからもしばらくつけたままの状態にしている。筆者撮影

 目覚まし機能付きSADランプは1日目からわたしをハッピーにしてくれた。明るくなった部屋で目覚める気分のよさよ! 最初に点灯する光は赤く、それがだんだん白熱灯のような色に変わっていく。まるで朝日が上っていくのを見るようだ。部屋の灯りをつけるのでは一気にぱっと明るくなってまぶしいし、第一、体を先に起こしてスイッチを入れなければならない。けれどもこのSADランプなら、横になったまま自動的に少しずつ明るくなってくれるのでストレスがまったくない。ベッドの脇にあるライトは直接目には入らないのでまぶしくもない。

 気持ちよく目覚めてアラームを止めた後、試しに30分くらい、ふとんの中でオーディオブックを聴きながら1万ルクスの光も浴びてみた。これを何日か続けていたら自然と、「せっかくだからストレッチでもしちゃおうかなー」という気持ちになってきた。運動嫌いのわたしとしては、これはかなり浮かれたゴキゲンの状態だ。実際にストレッチを始めると、このゴキゲンな気分が1日中続くのを感じるようになった。すっきり目覚めて体を伸ばすだけでこんなに幸せになれるなんて、SADランプさまさまだ。昼間も体が動きやすくなったので、自分を責めることも減った。嬉しい。

 使い始めてまだ2か月弱だけれど、もうSADランプは手放せない。ここ数年でダントツ1位の買い物だ。ああ、よかった、もっと早く使えばよかった、と周りに熱く語っていたら、友人2人も同じようなものを手に入れて、幸せな朝を迎え始めた。周りもハッピーになって、こちらまでますますハッピーだ。

 検索すると日本でもSADランプはずいぶんあるようだ。冬の朝がつらいあなた、もしかしたら光が足りないのかもしれませんよ。よかったらSADランプ仲間になりませんか? 

IMG_3336.jpg今回はSADの話をしたかったので、冬のロンドンは暗い、気が滅入る、と言い続けたけれど、冬の淡い光にも美しさがあることを最後に付け加えさせてください。筆者撮影
 

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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