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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

気分の重い11月を明るくしてくれた24時間チャリティ3つ

 途中、熱く語られたオアインさんのドラム愛や彼を応援するドラマー仲間たちの様子がほほえましかったし、ドラムは心理療法として有効というレポートも興味深かったのだけど、いちばんの見どころはやはり曲に合わせたドラム演奏だった。有名無名のドラマーやインドやアフリカのドラム奏者、有名オーケストラとのセッションもあり、中でも再びBBCニュースのテーマ曲を大勢で演奏した場面では胸がいっぱいになった。昨年のロックダウンでの不安を思い出し、あの時より自由な今の喜びをじわじわと感じて。

 ドラマソン終了後、寄付金は300万ポンド(約4億5000万円)を超え、24時間チャリティ募金の最高記録を更新した。BBCの番組だったとはいえ、この大成功はオワインさんの人気がいちばんの理由ではないかとわたしは密かに思っている(わたし自身、彼のお人柄に感激してテレビのチャリティに初めて寄付をしたのだ)。この功績が認められて、オワインさんは今月、「今年最も活躍したタレント」としてテレビ業界の賞も受賞した。

 チルドレン・イン・ニードは今年もう1つ、24時間イベントを開いた。それがダンサソンだ。お察しのとおり、ダンスとマラソンをかけた言葉でDanceathon。ディスコ調のゴキゲンな曲に合わせてシンガーでモデルのソフィー・エリス・ベクスターさんが24時間踊り続けるのだ。ソフィーさんもやはり去年のロックダウンの間に、家で派手な衣装を着て音楽に合わせて楽しそうに歌って踊る「キッチン・ディスコ」を公開して人気者になった人だ。

昨年5月のソフィーさんのYouTube投稿。はつらつと歌って踊るソフィーさんはロックダウン中の英国をぱっと明るくしてくれた。一緒に踊る子どもたちもばっちりポーズを決めていて楽しそう。こんな明るいお母さん、いいな

 ダンスといっても本格的なものではなくて、軽くステップを踏むのが基本で、たまに手をひらひらさせたりターンしたりという程度。それでもずっと走ったり歩いたりしているのと同じなので、24時間続けるとなるとじゅうぶん大変そうだ。11月15日の朝から24時間、ソフィーさんはステップを踏み続けた。お菓子を食べたり、読み上げられる交通情報を聞いたりしながら軽やかに踊る姿は、なんだかのんきでユーモラス。ゴールの前にはソフィーさんの子どもたちも登場してダンスに加わった。無事に終了すると小さな子を抱いたまま、「ちょっとだけこうさせてねー」とちょこんと座り込んでいた。

 ダンスの方がドラムよりも体力的に辛そうに感じるけれど、メインの放送がラジオだったからかなのか(ダンスなのになぜにラジオで?)、こちらの寄付金合計は現在100万ポンド(約1億5000万円)超。それでもじゅうぶんに大きな金額だけれど(ダンスソンの様子はこのリンクから当日のハイライト写真で見ることができる。ソフィーさんのキラキラ衣装にもご注目)。

 3つめのチャリティは、明るく楽しいものとは少し趣が違っている。11月22日、元プロラグビー選手でイングランド代表でもあったケビン・シンフィールドさんが、イングランド北部のレスターからリーズまでの101マイル(約160キロ)を24時間で走り切った。101マイルランと名付けられたこの挑戦も募金の呼びかけが目的だったが、ケビンさんにははっきりした寄付の対象があった。

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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