ダイバーシティ先進国ベルギーから観る欧州 LGBTQI 事情
コロナ禍でゲイタウンもひっそりと
ちなみに2年前の秋(2018年10月26日)、かなり日も短くなり寒くなってきた頃の写真が残っていたが、深夜0時前の同じストリートの様子を見てみると、通りで人々が談笑しているのが見て取れる。夏ならば群がったゲイ達の声が周囲一帯にこだまするほどの賑わいになる。
筆者撮影 © hiquirin
通りの反対側からみると、もっと密集・密接している。
筆者撮影 © hiquirin
それに対して、今年のロックダウン解除後の様子は一変。いずれも一番盛り上がる金土の深夜に定点観測してみたが、どの日もこのゲイストリートとしてはとても閑散としていて、普段はゲイの群れに隠れているテラスのテーブルやストゥールが見えることなど初めてだった。狭い店内は避けたいとの思いと、入店人数の制限もありテラス席が人気なのは各店共通だ。
6月26日 23時頃筆者撮影 © hiquirin(以下同様)
7月26日 0時過ぎ8月7日 23:30過ぎ
とても不思議な光景に映ったのでゲイバーに定期的に通う友達何人かに訊いてみると、なるほど!と納得する答えが返ってきた。各バーとも店舗前のテラスから通りに迫り出しての立ち飲みは禁止されているとのことだった。道に出てうろちょろしては飲食店に義務付けられている追跡フォームに個人情報を記載しても、きちんと感染経路を追えないという理屈だ。ということで、ゲイ達もきちんとルールを守って各種制約のある環境の中で楽しんでいるし、ゲイバー通いが日常だった友人も専ら家飲みにシフトしていると語っていた。僕ら夫夫と同様に多くのゲイ達は「新しい生活様式」を遵守しながら、ストレート(異性愛者)の市民と変わらぬ日常生活を送っている。
著者プロフィール
- ひきりん
ブリュッセル在住ライター。1997年ドイツに渡り海外生活スタート、女性との同棲生活中にゲイであることを自覚、カミングアウトの末に3年間の関係にピリオドを打つ。一旦帰国するも10ヶ月足らずでベルギーへ。2011年に現在の相方と出逢い、15年シビル・ユニオンを経て、18年に同性婚し夫夫(ふうふ)生活を営み中。
ブログ:ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記
Twitter:@hiquirin