コラム

知的財産権を巡る交渉、IPEFは何を変えるのか

2022年05月27日(金)17時23分

「インド」が加わっている意義は極めて大きい

IPEFの最大の特徴の1つはインドが加わっていることだ。TPPがカバーしてきた高度な水準を求める知的財産権保護の枠組みから抜けてきた「インド」が加わっている意義は極めて大きい。インドは中国主導のRCEPの枠組みから離脱しており、アメリカ、日本、インドという域内大国が組み込まれたIPEFが機能した場合、インド太平洋地域のスタンダードになることは間違いない。

既に発足したTPP11に加えて、アメリカ、日本、インドの3か国が加わったIPEF(総計13か国)による知的財産権保護の枠組みは、中国の知的財産権政策に関しても北風と太陽の両面を持つ政策として圧力となっていくことになるだろう。

まさに1人でダメなら2人で、2人でダメなら3人で、ということだ。クアッドのような安全保障の枠組みだけでなく、日米印の関係深化が図られていく状況に今後も注目していきたい。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

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