コラム

アサド後の「真空地帯」──ISとアルカイダが舞い戻るシリアの現実

2025年08月07日(木)17時01分
アサド後の混迷と「アルカイダ再興」──邦人や企業に迫る地政学リスク

アサド後のシリアの首都ダマスカスの通り(2024年12月31日) -shutterstock-

<シリアのアサド政権崩壊後の混沌とした状況を、イスラム国(IS)やアルカイダといったグローバルなジハード系テロ組織が上手く利用しようとしている>

今回は、シリア国内におけるテロ組織の動向とその影響について紹介する。

アサド政権崩壊後のシリア:新たなテロの温床

2024年末にバシャール・アサド政権が崩壊した後、シリアは政治的・軍事的空白地帯となり、テロ組織にとって格好の活動の場となっている。イスラム国とアルカイダは、アサド政権が保有していた重火器の備蓄を奪取し、混乱に乗じて勢力を拡大している。


特に、2025年3月のアレッポでの拘留者70人の脱獄を含む、計500人以上のテロ組織関連囚人の解放は、治安の悪化を象徴する出来事だ。これにより、両組織は新たな戦力を確保し、シリア国内での攻撃を強化している。

イスラム国は、シリアの砂漠地帯を中心に最大3000人の戦闘員を維持し、ダマスカス近郊やアレッポ、ホムス、南部地域にも小規模な拠点を構え、特に北東部のシリア民主軍(SDF)を標的にしている。

この地域には約400人のイスラム国戦闘員が活動しており、宗派間の緊張を煽るキャンペーンを展開している。一方、アルカイダの現地支部であるフッラース・アル・ディンは、約2000人の戦闘員を保持し、イドリブや沿岸部で新たな派閥を形成している。

プロフィール

和田 大樹

株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学講師(非常勤)。専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論など。大学研究者として国際安全保障的な視点からの研究・教育に従事する傍ら、実務家として海外進出企業向けに政治リスクのコンサルティング業務に従事。

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