最新記事
日本社会

「美しい国」に来て35年...日本にとけ込む努力を続けたイラン人が語る「日本で暮らす外国人」の本音

2025年7月18日(金)20時18分
南 龍太(ジャーナリスト)
日本で生活する外国人の本音

美しく艶めくシルクのペルシャ絨毯を手にするレファヒーさん (記事中の写真はすべて筆者撮影)

東京・吉祥寺の駅からほど近い一角に構えるショールームは、色鮮やかなペルシャ絨毯が整然と並ぶ「カスピアン」。緻密で繊細な模様、趣深い色彩、手織りならではの温もり──。

「これはコム、あっちはエスファハーンの作家さんの作品です」と数百、数千とある展示品の1つ1つを記憶しているかのように大事に扱うのは、お店を営むアハマッド・レファヒー(アリ)さん。「受け入れられた」と感じた異境の「美しい国」・日本に根差して35年、激動する世界と不安定化する社会の荒波の中、順調だったエスニックビジネスの絨毯販売業もまた試練の時を迎えている。

ビジネスの停滞と続く緊張

「本当はこの春にイランに行く予定だったんですが...」。レファヒーさんは少し戸惑い気味に言葉を選んだ。


毎年、イランの新年を祝う3月20日の「ノウルーズ」が明けた春先は、大切な仕入れの季節だった。しかし、今年は例年にない不穏な動きを察知し、渡航を自粛。案の定、その直後にイスラエルや米国による軍事攻撃を受け、イラン国内は大混乱に陥った。今も不安定な情勢が続く。

「以前は毎週のように、きちんと品物が届いていました。ただ、今は薬や緊急物資の配送、輸送が優先で、私たちの商品を運べるような状態ではありません」とレファヒーさんは肩を落とす。既に完成した絨毯商品は、テヘランのバザールの店舗に眠ったままだ。

newsweekjp20250717101040.jpg

吉祥寺のペルシャ絨毯専門店カスピアン

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

6月小売業販売額は前年比+2.0%=経産省(ロイタ

ワールド

中国外相、米との関与拡大呼びかけ 対立に警鐘

ビジネス

マイクロソフト、7─9月に過去最高の300億ドル支

ワールド

韓国との貿易協定に合意、相互関税15% トランプ米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 5
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 6
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 9
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中