最新記事
アメリカ大統領選挙

米大統領選挙後の近未来を予測「もしトランプが再選したら」その時、日本はどうなる!?

IF TRUMP WINS

2024年3月21日(木)20時54分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

ニクソン政権期に知られるようになった抑止力としての「狂人理論」が、今回の選挙戦で頻繁に登場するだろう。

バイデンの慎重な国際主義が導く今の世界は戦火にまみれているのに対し、「何をするか分からない」トランプ時代の4年間は大きな戦争が起こらなかった。

2期目の政権で意外な大役を担うかもしれない注目株が、元国防副次官補のエルブリッジ・コルビー。

映画俳優並みのルックスと、ハーバードとエールという名門大学で鍛えられた学歴を持つ彼は、アメリカは中国に最大の関心を払うべきだと考えている。

コルビーが要職に抜擢されれば、中国がより手荒い扱いを受けるというサインだ。

ウクライナ戦争

newsweekjp_20240321035950.jpg

ゼレンスキー(写真中央)が率いるウクライナは苦況に追い込まれる UKRIANIAN PRESIDENCYーABACAPRESS.COMーREUTERS

トランプの論理によれば、彼がホワイトハウスを奪還したら、プーチンはウクライナから何でも欲しいものを奪える──プーチンは今、そんなふうに勇気づけられているだろう。

ロシアの反政権活動家アレクセイ・ナワリヌイの死によって、米共和党内には対ロシア政策をめぐり亀裂が生じている。

もちろんトランプは、ナワリヌイの死や彼が実刑に処せられていたことを非難していない。

一方、選挙戦でトランプが優位を保ち、戦場でロシアがウクライナを押し返し続ければ、ヨーロッパ諸国がウクライナへの支援を強化すると、私は予想している。

ヨーロッパのいくつかの国は既に、アメリカが支援に消極的になるのを目の当たりにして、ウクライナ支援に一層本腰を入れ始めている。

トランプが大統領に返り咲く可能性が高まれば、ヨーロッパの危機感はさらに強まる。

ヨーロッパにとっては、ウクライナの隣国モルドバの状況も無視できない。

もしロシアがモルドバ領内で親ロシア派勢力が実効支配する地域──「沿ドニエストル共和国」と自称している──を併合する事態になれば、ヨーロッパはそれこそパニックになるだろう。

1期目の政権でトランプがNATOに冷淡な発言を繰り返したときは、ヨーロッパ諸国が懸念を募らせて、国防支出を増額した。

再びトランプ政権が誕生すれば、ウクライナは苦しい状況に追い込まれ、ヨーロッパは米政権に抵抗するか閉口するかの選択を突き付けられることになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ロビンフッドが初の自社株買い、第3四半期から10

ビジネス

日経平均は小幅反発で寄り付く、米ハイテク株高を好感

ビジネス

新技術は労働者の痛み伴う、AIは異なる可能性=米S

ワールド

トランプ氏不倫口止め裁判で最終弁論、陪審29日にも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    なぜ「クアッド」はグダグダになってしまったのか?

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中