最新記事
米大統領選

トランプ支持者は噓をつく? もしトランプが4件の裁判で有罪になったら...

Are Voters Just Lying?

2024年3月3日(日)16時22分
ベン・マティスリリー
ドナルド・トランプ

トランプの刑事裁判が大統領選に与える影響は?(2月15日、ニューヨーク州の裁判所) JEENAH MOONーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<トランプが抱える4件の裁判。もし実刑を言い渡されれば、支持が減り、当選する可能性は減るのか>

「既知の未知」という言葉がある。それが何であるかは分かっているが、発生するかどうかも、いつどのような形なのかも分からないことを指す。ドナルド・トランプ前米大統領の刑事裁判が今年の米大統領選に与える影響は、あまりにも未知にすぎる、「既知の未知」だ。

その要因の1つは、トランプが抱える4件の裁判の展開が多様であること。まず3月25日には、不倫相手に支払った口止め料をめぐる業務記録の改ざんなどで起訴された事件について、ニューヨーク州の裁判所で初公判が開かれる。だが大半の見方によれば、この裁判はトランプにとって最も怖くない。

トランプは米連邦最高裁に対し、大統領在任中の全面的な免責特権を求めている。これが通れば、2020年の大統領選の結果を覆そうとしたとされる連邦法違反と、ジョージア州で集計作業に介入したという州法違反の2つの事件で罪を問われない可能性がある。

さらに、大統領を退任する際に機密文書をフロリダ州の自宅に持ち出したとされる事件では、同州の親トランプ派の判事から有利な判断を引き出せるかもしれない。

一方で、トランプの思惑どおりに事が運ばず、本選前に複数の裁判で実刑を言い渡される可能性もある。そこで世論調査機関は、トランプが有罪になった場合に有権者がどのような投票行動を取るかを見極めようとしている。

世論調査からまず分かるのは、今はトランプを支持しているが、有罪になれば見限るという人々の存在だ。

2月初めに発表された公共ラジオNPRなどの共同調査では、支持率で48%対47%とトランプを僅差で上回るジョー・バイデン大統領が、トランプが有罪になれば51%対45%とリードを広げるという結果が出た。

同様の質問をしたNBCニュースによる同時期の調査では、今はトランプが47%対42%でリードしているが、有罪になればバイデンが45%対43%で優勢になるという。

だが、もしも世論調査の回答者が嘘をついているとしたら? アメリカの有権者は時に世論調査員には「トランプは最悪だ」と言いながら、実際には彼に票を投じてきた。

2019年のピュー・リサーチセンターの調査では、回答者の64%がトランプは在任中か選挙戦で「確実に」または「おそらく」違法行為を働いたと考えていた。翌年の大統領選で彼の得票率は46.8%。投票率などを勘案すれば、有権者の約10%は「確実に」または「おそらく」犯罪者である人物に票を投じたことになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:アルゼンチン止まらぬ物価高、隣国の町もゴ

ビジネス

アングル:肥満症薬に熱視線、30年代初頭までに世界

ワールド

イスラエル、新休戦案を提示 米大統領が発表 ハマス

ビジネス

米国株式市場=ダウ急反発、574ドル高 インフレ指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    ロシアT-90戦車を大破させたウクライナ軍ドローン「精密」特攻...戦車の「弱点」を正確に撃破

  • 3

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...痛すぎる教訓とは?

  • 4

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 5

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 6

    米女性の「日焼け」の形に、米ネットユーザーが大騒…

  • 7

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 8

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「同性婚を認めると結婚制度が壊れる」は嘘、なんと…

  • 1

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 2

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 3

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 4

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 5

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 8

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中