最新記事
中国投資家

株で損した中国投資家が、米国大使館の「キリン」についての投稿で炎上!この珍事で奇しくも明らかになった米中格差

Chinese internet comments flood US Embassy account amid China stock rout

2024年2月6日(火)13時58分
マイカ・マッカートニー

中国の個人投資家はざっと2億人。その怒りはいま「ピークにたっしている」 (Photo by CFOTO/Sipa USA)

<中国当局の検閲を逃れるためか、在中米国大使館のアカウントのまったく関係のない投稿に、株価下落への不満をぶちまける中国人のコメントが約17万件>

在中米国大使館がソーシャルメディアに「キリンに関する投稿」を行ったところ、コメント欄に中国経済の苦境や株価下落を嘆くネット民からの書き込みが殺到するという珍事が発生した。同大使館が2月2日の夜に中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」に行ったこの投稿は、5日朝(現地時間)までに16万6000件のコメントが寄せられ、71万9000件の「いいね」がつき、1万8000回シェアされている。

中国の当局者たちは、中国の2023年のGDP(国内総生産)成長率が5.2%を達成したと主張しているが、アメリカと比べると経済は減速している。アメリカに次いで世界2位の経済大国である中国が直面している「逆風」の一つが、過去3年間で6.3兆ドルが失われた株式時価総額だ。

 

米国大使館の問題の投稿は、ナミビアの「キリン保護基金」と米スミソニアン保全生物学研究所などが提携してGPSデータを使ってキリンの動きを監視するなど、キリンの保護活動に関するものだった。

そこになぜか中国の一部ネット民が、中国政府の株式対策に対する不満をぶちまけた。

あるウェイボーユーザーは2日、「中国政府に対する2億人の中国人の怒りはピークに達している」とコメント。2億人とは、中国の個人投資家の概数だ。

別のユーザーは、「これまでの歴史が国に打撃をもたらしている。中国では30年以上にわたって空売りが行われてきた」と書き込んだ。

「世界の警察なら助けて」

ニューヨークのナスダック市場にも言及し、「今からナスダックに行っても手遅れだろうか」と、アメリカの株高を羨ましがる人もいた。

また多くが、冗談めかしてアメリカに支援を求める書き込みを行った。

米国大使館に「(中国の)株式市場をなんとかしてくれませんか?」と尋ね、別の人物は「外交手段を使って(中国株を)引き受けて欲しい」と要請。「世界の警察なら私たちを助けて」という書き込みもあった。

この現象に注目したネット民たちがウェイボー上に「#米大使館」のハッシュタグをつけた投稿も行った。

あるユーザーは3日に「昨夜は米大使館のウェイボーが盛り上がったらしい」と投稿。別の人物は「米大使館のキリンに関する投稿に15万件を超えるコメントが寄せられている。近年で最も人気の投稿だ。残念!」と書き込んだ。

また別の人物は「大量のA株難民が米大使館のウェイボーで泣き言を言っている」と述べた。A株とは、中国本土に本社を構え、深圳証券取引所および上海証券取引所に情報している中国企業の株式のうち、人民元建てで取引されている銘柄を指す。

さらに別のアカウントは「中国万歳。米中の友情にもキリンにも万歳」と投稿した。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ミーム株急騰、火付け役が3年ぶり投稿再開 ゲームス

ビジネス

米国株式市場=S&P横ばい、インフレ指標や企業決算

ワールド

メリンダ・ゲイツ氏、慈善団体共同議長退任へ 名称「

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、今週の米経済指標に注目
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 8

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 9

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 10

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中