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訴訟で負けた直後に「ジャーナリズムの最高基準」と自画自賛で開き直る、米メディアFOX

2023年4月28日(金)20時20分
リチャード・ヘイセン(カリフォルニア大学ロサンゼル校法学教授)

別の選挙集計システム会社スマートマティック社、さらにトランプ陣営から選挙不正に関与したと誤って糾弾されたアトランタの選挙作業員など、今後も名誉毀損訴訟は続く。ただし、名誉毀損は、この問題に対処するための限定的手段にすぎない。

議会と州当局は選挙管理担当者が自由で公正な選挙を行えるように、さらに多くの資金を提供する必要がある。資金が足りなければミスが出やすくなり、険悪な空気の下ではそれが新たな陰謀論を生む。

FOXの上層部が証言台で苦悶する姿を見れば、感情的な満足感は得られたかもしれない。だが、その様子をFOXニュースが報道することはなかっただろう。国民の一部をとりこにした「熱病」を撲滅することもできそうにない。

ドミニオンの訴訟は、FOX上層部が20年大統領選をめぐる嘘を知っていたという動かぬ証拠が出てきたという点で、一定の成果を上げた。

このような事例がさらに増えるのは歓迎すべきことだ。ただし、民主主義を守るためにはまだ十分とは言えない。

©2023 The Slate Group

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